STARTUPS JOURNALでは2023年、データ分析や起業家らへの取材を通じて国内スタートアップの動きを伝えてきた。
年の終わりに、記事を通じて日本のスタートアップエコシステムを象徴する動きを振り返っていきたい。
今回は、製品・サービスや起業家自身が尖った特徴を持っている「個性派編」。多種多様な人材が活躍するスタートアップエコシステムのなかでも、ひときわ異彩を放つサービスや人物に触れてみてほしい。
SDGs、ESGの文脈から「生物多様性」という言葉を頻繁に見るようになった。「いきものコレクションアプリ」を手がけるバイオームはそんな生物多様性領域に挑む珍しいスタートアップだ。創業当初、投資家からは『儲かるわけない』と冷たい反応もあったが、藤木庄五郎・代表取締役は一切気にせず、むしろ自信に変えて突き進んでいく。理想を掲げながら、着実に成長を遂げるための事業戦略も伝えている。
社会課題解決を目指す「インパクト・スタートアップ」であるカポックジャパン。「課題解決」と「事業成長」の両方を目指していくが、実際には壁にぶつかることも。社員とのすれ違いなどから生まれる等身大の「しんどさ」、「ソーシャル(社会性)に逃げない」という信念...深井喜翔(きしょう)CEOの言葉から、インパクト・スタートアップの「悩みと答え」を描き出す。
年収4ケタ万円を超える眉目秀麗な男女が並ぶ...マッチングアプリにそんな「ギラギラ」としたイメージを持つ人もいるはずだ。自身が「マッチングアプリ疲れ」を経験したFlamersの佐藤航智・CEOはスペック争い「じゃない」恋愛を提唱し、「メタバース×出会い」サービスに挑むことに。一見すると少数派向けのサービスにも思えるが...佐藤CEOの分析は異なる。
起業家や投資家のネットワークが集積する東京。スタートアップが東京一極集中なのは間違いない。これに対し、「札幌本拠地+フルリモート」で成長を遂げようとするのがWeb3スタートアップ・あるやうむ。地方だからこそ有利な部分もある...畠中博晶・CEOが濃厚な思想とともに語ってくれている。
大流行の生成系AI。スタートアップの間でも関連プロダクトが相次いで発表されるが、この領域で我が道を突き進むのがGateboxだ。同社がAIを活用して作り上げんとしているのは「理想の花嫁」。大人気漫画「ONE PIECE」の作者・尾田栄一郎さんも賛同するプロジェクトは、「キャラクター自体が意思を持って生活する」世界に向けて歩みを止めない。「もっともらしいウソをついてしまう」というAI特有の問題点も「そもそも頭の良いキャラではない」という設定で乗り越えてしまう。
発電の過程でCO2(二酸化炭素)を出さない。燃料は海水から取れるためほぼ無尽蔵。少ない燃料から膨大なエネルギーを生み出せる...「夢のエネルギー」となる可能性を秘めるが、前人未到の領域でもある「核融合」。23年5月に105億円の資金調達を発表した京都フュージョニアリングへの取材から、核融合の現在地や、研究開発型スタートアップの抱える課題に迫る。