限定レポート

【2023年 年間】国内スタートアップ投資動向レポート

2024-02-01
高橋史弥 / STARTUP DBアナリスト・編集者
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高橋史弥 / STARTUP DBアナリスト・編集者

国内スタートアップの資金調達金額が、3年ぶりに1兆円を割り込む可能性が出てきた。

アメリカの中央銀行の利上げなどを受け、資金調達環境が調整局面に突入したのは2021年末ごろ。その後ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界情勢は一層不安定化していく。

2022年はデットファイナンス(用語解説)など調達手法の多様化が進んだこともあり、1兆円の水準を保った。しかし23年上半期から減速トレンドが顕在化。その傾向は下半期も変わらず、年間の調達金額は速報値で9,037億2,300万円となった。速報値のため今後一定程度上昇するが、3年ぶりに1兆円を割り込む可能性も残る。

その一方で、2023年は次なる成長の芽との期待がかかる動きが次々と観測された1年でもあった。

爆発的に広がった生成系AIをめぐっては、長年この領域に携わってきた研究者らに起業の動きがみられる。ベンチャーデット(解説記事)など複数のスキームを組み合わせた調達が引き続き広がっているほか、拡充されたSBIR(中小企業技術革新制度 / 用語解説)を通じて研究開発費用を獲得する事例も出ている。

グローバルとの比較では限定的とはいえ、マクロ経済環境の影響が顕在化した国内のスタートアップ。2023年のエコシステムを、調達額や件数、それに評価額やIPOなどの視点から詳細に紐解いていく。

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スタートアップの調達総額は9,037億円 前年比マイナス避けられぬ勢い

2023年に国内のスタートアップが調達した資金は9,037億2,300万円だった。これは新株を発行するエクイティファイナンス(用語解説)だけでなく、融資などのデットファイナンス、それにクラウドファンディングによる調達などの総額だ。

あくまで速報値であり、今後一定程度の増加が見込まれるが、現時点では2022年(1兆2,516億9,500万円)から3,479億7,100万円、率にして28%ほど減少している。確定値は1兆円前後になるとみられる。

国内スタートアップの資金調達環境は、アメリカの中央銀行の利上げなどの影響を受け2021年末ごろ調整局面に突入した。22年はランウェイ(用語解説)を長く確保することを目的とした資金調達が実施されたこともあり、調達規模は1兆円超えの水準を保った。デットファイナンスの活用も進むなど、調達手法の多様化も指摘された。

資金調達金額が減少傾向に転じたのは2023年上半期からだ。23年上半期の調達金額は4,506億6,200万円と、前年同期比で71%程度に留まる。この傾向は下半期も続き、減少トレンドが鮮明になった。

一方で、2023年にも100億円を超える大型調達は複数確認されている。市況の冷え込みを受け、高いリターンを期待できる領域のスタートアップに投資マネーが集中する流れが強まった可能性がある。

資金調達を「エクイティ」と「その他」に分類した。「その他」はデットファイナンスや新株予約権付融資・社債などのベンチャーデット、それにクラウドファンディングや補助金などを含んでいる。

エクイティファイナンスの減少傾向が鮮明になった。2023年は7,855億4,000万円(速報値)で、22年から1,991億7,000万円、割合にして20%ほど減った。

こちらも速報値のため今後上昇するものの、12%前後のマイナスで着地する見込みで、金融緩和などを背景に大型調達が相次いだ2021年からの減少トレンドは明らかだ。エクイティ調達の実施社数も1,938社と伸びを欠いた。

「その他」は1,181億9,000万円となった。2022年にUPSIDERが実施した467億円規模のデットファイナンスなどの大型調達は確認されなかったものの、金額・社数ともに2021年とほぼ同じ水準となった。

本レポートはこうした資金調達の概況だけでなく、大型のファイナンスを実行したスタートアップの分析やIPO・M&Aイグジットの情報などを網羅している。

レポートの目次

1:資金調達金額・社数の概況
2:資金調達金額の平均値・中央値
3:評価額ランキング
4:資金調達金額ランキング
5:2023年のトピック
6:投資社数ランキング
7:EXIT概況
8:終わりに

このような方におすすめ

・CVCなど、事業会社で投資担当をしている
・2023年の1年間で大型資金調達をした企業を知りたい
・国内の最新スタートアップ動向を知りたい
・ファンド、投資家、産学連携など成長産業における最新動向を網羅したい
・今、勢いのあるスタートアップを見つけたい
・IPOやM&A、事業提携などの傾向を知って、自社に活用したい

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投資動向レポートの公開に合わせ、最先端で活躍するVCのお二人に国内スタートアップエコシステムの「今」を徹底的に解説してもらうセミナーを開催します。

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▼開催概要

開催日時:2024年2月16日(金)12:00~13:30
参加料:無料
参加方法:オンライン視聴
主催:フォースタートアップス株式会社(STARTUP DB)
※競合企業様などのご参加をお断りする場合がございます。予めご了承くださいませ。
※動画視聴方法につきましては、お申し込みいただいた方へのみご案内させていただきます。

▼登壇者プロフィール

株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
代表パートナー 今野 穣

2006年グロービス・キャピタル・パートナーズ入社、2012年同社パートナー就任、2013年最高執行責任者就任、2019年同社代表パートナーに就任。同社は、国内向け独立系ベンチャーキャピタルとして最大規模の累積1,100億円を運用。主なトラックレコードは、Visional(旧ビズリーチ)、Yappli、クリーマ、アカツキ、ブイキューブ、ライフネット生命保険、Quipper、キラメックス。主な投資担当先は、スマートニュース、アンドパッド、READYFOR、akippa、アグリメディア、FLYWHEEL、リノベる。、tebiki、セイビー、TERASS、ナレッジワークなど。2021年日本ベンチャーキャピタル協会理事就任。同社以前は、経営コンサルティング会社(現PwC)にて、プロジェクトマネジャーを歴任。東京大学法学部卒。

インキュベイトファンド
代表パートナー 村田 祐介

2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社(現:大和企業投資株式会社)入社。主にネット系スタートアップの投資業務及びファンド組成管理業務に従事。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。2015年より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会企画部長を兼務。その他ファンドエコシステム委員会委員長やLPリレーション部会部会長等を歴任。2023年同協会理事就任。

フォースタートアップス株式会社
STARTUPS JOURNAL 編集長
高橋 史弥

早稲田大学法学部及び復旦大学新聞学院卒業後、2013年に記者として日本放送協会入局。事件・事故報道や選挙報道などに従事したのち、2019年にハフィントンポスト日本版にジョインし中国経済・中国情勢を担当。中国ITや経済安全保障、サプライチェーンの人権保障をめぐる記事やイベントを多数手がける。2022年フォースタートアップス入社。STARTUP DBのアナリスト兼編集者を務める。

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