限定レポート

【速報】2025年上半期も引き続きM&Aが活況。成長戦略とEXIT戦略の多様化が求められる

2025-07-23
STARTUPS JOURNAL編集部
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STARTUPS JOURNAL編集部

2025年上半期の国内スタートアップの資金調達額は速報値で3,810億円となったことがSTARTUP DBの調査で分かった。前年同期比では微減となったが、予測値を含めて見ても依然として大きな変化は見られず、調達環境は概ね横ばいの状態が続いている。

また、EXITの動きをみると、IPO件数は低調な状態が続いているが、買収件数が増加傾向となった。
引き続き、M&Aの活況に注目が集まっている。

調達環境について

スタートアップの資金調達金額・調達社数の推移をまとめた。

これは新株を発行するエクイティファイナンスや融資・社債などのデットファイナンス、それに補助金やクラウドファンディングなど、複数の手法による調達の合計値となる。
2025年上半期の資金調達金額は速報値で3,810億円(前年同期比26.2%減)、予測値で4,711億円となり、資金調達社数は速報値で1,209社(前年同期比24.7%減)、予測値で1,469社で、金額・社数ともに予測値を含んでも大きな変化はなかった。 

また、資金調達を「エクイティ」と「その他」に分類した。「その他」はデットファイナンスや新株予約権付融資・社債などのベンチャーデット、それにクラウドファンディングや補助金などを含んでいる。

25年上半期のエクイティファイナンスは速報値で3,284億円(前年同期比17.4%減)、実施社数は速報値で1,056社(前年比28.9%減)となり、全体の動向と同様に大きな変化はみられなかった。
「その他」の調達金額は前年より落ち込んだものの、調達社数は増加しており、エクイティ以外の手段を選択するスタートアップが増加している。24年には数百億円規模の大型デットファイナンスが複数公表されたが、25年上半期は大型融資が少なかったことで金額は抑えられた。一方で、デットファイナンスや補助金などを活用する企業は着実に増えており、スタートアップの調達手段が多様化している実態がうかがえる。

資金調達金額ごとの資金調達件数割合を推移でみると、「1億円未満」の調達件数割合は減少している。一方で、「5〜10億円」「10〜20億円」の割合が増加したことにより、中央値が上昇している。

EXIT環境について

25年上半期のスタートアップにおけるEXIT動向はどのように推移しているのだろうか。
IPOと買収の件数について、上半期時点での状況を整理した。なお、EXIT件数には合併や事業譲渡は含まれていない。

25年上半期のIPO件数は21件となり、金利上昇やマクロ経済環境の不透明感により、近年のIPO市場は引き続き冷え込んでいる。さらに、25年3月に発表された東証グロース市場の上場維持基準の見直しが、実質的に上場基準の引き上げに繋がっており、上場是非の判断を慎重にする要因となっている。こうした環境を踏まえると、下半期においてもIPO件数の停滞が続く可能性が高いと予測される。

一方、買収件数は25年上半期で92件に達し、引き続き高水準を維持している。
近年、スタートアップの間でM&Aを明確なEXIT戦略として捉える動きが広がっている。買い手は大企業にとどまらず、成長の著しいスタートアップが買う側に回ることで、さらなる競争力を獲得し、非連続的な成長機会を得ようとするケースも増加している。今後は、これまで上場を主要な目標としていたスタートアップにおいても、上場維持基準の改定を背景に、ミドル期の前からM&Aを視野に入れる動きが一層加速すると見込まれる。

エコシステムの今を徹底分析 レポートは7月30日公開

STARTUP DBは、「【2025年 上半期】国内スタートアップ投資動向レポート」を2025年7月30日に公表する。

国内スタートアップエコシステム全体の資金調達トレンドから、エクイティなど調達手法別の傾向、それにIPO・M&AなどのEXIT状況などを俯瞰し、数字とともに浮き彫りにしていく。

さらに独立系VC・金融系VC・CVCと事業会社など、属性別の投資動向も分析。事業の進捗を示す「シリーズ」ごとの調達状況も整理したほか、今回は引き続き、海外市場の調達動向を掲載する。なお、本レポートでは、2025年5月に実施した事業会社およびCVCとスタートアップ間の投資・協業に関する実態調査のアンケート結果も併せて公表する。様々な角度から国内エコシステムの今を切り取り、可視化した。

最先端で活躍のVCが徹底解説 無料セミナーは8月6日

東証グロース市場の上場維持基準を上場5年経過後に時価総額100億円以上に変更するなど、2025年上半期は大きな変化がありました。

今回はそのような影響を受けて、スタートアップのエコシステムはどのような変化が起きているのか。
データだけでは見えないマーケットの変化を、最先端で活躍するVCお二人にご解説を頂きます。

スタートアップの"今"と"今後の展望"を「最速」で読み解き、質問もできる1時間半です。

▼このような方におすすめ

・CVCなど、事業会社で投資担当をしている
・国内の最新スタートアップ動向を知りたい
・ファンド、投資家、産学連携など成長産業における最新動向を網羅したい
・今、勢いのあるスタートアップを見つけたい
・IPOやM&A、事業提携などの傾向を知って、自社に活用したい

▼開催概要

開催日時:2025年8月6日(水)18:00~19:30
参加料:無料
参加方法:オンライン視聴
主催:フォースタートアップス株式会社(STARTUP DB)
※競合企業様などのご参加をお断りする場合がございます。予めご了承くださいませ。
※動画視聴方法につきましては、お申し込みいただいた方へのみご案内させていただきます。

▼登壇者プロフィール

株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
代表パートナー 今野 穣

2006年グロービス・キャピタル・パートナーズ入社、2012年同社パートナー就任、2013年最高執行責任者就任、2019年同社代表パートナーに就任。同社は、国内向け独立系ベンチャーキャピタルとして最大規模の累積1,100億円を運用。主なトラックレコードは、Visional(旧ビズリーチ)、Yappli、クリーマ、アカツキ、ブイキューブ、ライフネット生命保険、Quipper、キラメックス。主な投資担当先は、スマートニュース、アンドパッド、READYFOR、akippa、アグリメディア、FLYWHEEL、リノベる。、tebiki、セイビー、TERASS、ナレッジワークなど。2021年日本ベンチャーキャピタル協会理事就任(現任)、2024年同協会ナレッジ部会部会長就任(現任)。東京大学工学部非常勤講師(現任)。同社以前は、経営コンサルティング会社(現PwC)にて、プロジェクトマネジャーを歴任。東京大学法学部卒。

インキュベイトファンド
代表パートナー 村田 祐介

2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社(現:大和企業投資株式会社)入社。主にネット系スタートアップの投資業務及びファンド組成管理業務に従事。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。2015年より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会企画部長を兼務。その他ファンドエコシステム委員会委員長やLPリレーション部会部会長等を歴任。2023年同協会理事就任。

フォースタートアップス株式会社
代表取締役
志水雄一郎

慶應義塾大学環境情報学部卒業、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)にて転職サイト「DODA」(現doda)立ち上げなどを経て、2016年に株式会社ネットジンザイバンク(現フォースタートアップス株式会社)を創業、代表取締役社長に就任。2014-15年「Japan Headhunter Awards」にて「Headhunter of The Year」2年連続受賞、2016年に国内初「殿堂」入りHeadhunter認定。2019年より日本ベンチャーキャピタル協会ベンチャーエコシステム委員会委員、2020年より経団連スタートアップ委員会企画部会/スタートアップ政策タスクフォース委員に就任。2021年に公益社団法人経済同友会入会。2022年に一般社団法人関西経済同友会に入会。2023年『スタートアップで働く』(ディスカバー・トゥエンティワン)を出版。

最新セミナー情報

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