ポテンシャルを引き出し、キャリアを形成するための人材配置やアサインをテーマにしたセミナーが都内で開かれ、経営幹部として組織開発にあたってきた当事者たちが意見を交わした。
このセミナーはスタートアップエコシステム協会(SEAJ)が主催したもので、12回連続で開かれる研究プロジェクトの第5回目。「ポテンシャルを引き出し、キャリアを形成する人員配置やアサイン」をテーマに、組織設計に携わってきたパネリストらが意見を交わした。
まず「組織づくりで何を大切にしているか」から議論が始まると、Acompanyの高橋亮祐・代表取締役CEOは「カルチャーフィットを大切にしています」と説明。同社の「Be Cool=自分を大切にしつつ、他人を思いやれる姿勢」と「Be Hacker=価値あるものを作るために、合理的に改善を繰り返す姿勢」という2つのバリューを紹介したうえで、「どれだけ能力が高くても、カルチャーフィットしなければ採用はしない」と明かした。
続いてプレイドの阪茉紘・執行役員が「“革新的な自分達”ということをどう保持し続けられるかという所に重点をおいて採用を行なっている。目的に戻って自分のやるべきことをやれるのかということを重視している」と紹介した。
これを受けて、社員数が2,000人を超えるDeel Incの中島隆行・カントリーマネージャーは「弊社もあまり変わらないな、と思いました」と述べ、同社が採用で重視している基準について「KPIやOKRに対して必要な人材を探す一方で、カルチャーフィットという部分も非常に重視している。フルリモート環境で、なおかつスタッフがグローバルに散らばっているため、“自分で動く”ということを大切にしている」と明かした。
モデレーターを務めたリーディングマークの飯田悠司・代表取締役社長は「カルチャーフィットも大事だし、スペシャリティーも大事。これらは対峙する概念でではないということだ」と議論をまとめた。
続いて、飯田氏が「外資系企業とスタートアップ起業の違い」について、P&Gジャパンなどで勤務経験のある阪氏に尋ねると、阪氏は「圧倒的に制度が整っている・いないかが最大の違い。スタートアップは全部ゼロから考えられる所が良いが、すなわち考えることがものすごく増える。一方でグローバル企業は現行のベストの制度で働けるが、ともすれば考えることを放棄してしまう」と解説した。
次回のテーマは「即戦力を育てるオンボーディングとは」だ。