ランキングレポート

国内スタートアップ資金調達ランキング(2025年9月)

2025-10-08
STARTUPS JOURNAL編集部
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STARTUPS JOURNAL編集部

クラウド型経費精算システム「バクラク経費精算」を提供するLayerXは、シリーズBラウンドにて150億円を調達しトップに立った。
磁場閉じ込め方式の核融合炉において、プラズマ状態を作り出すために必要な加熱システム「Plasma Heating System」の研究開発を行う京都フュージョニアリング、シリーズCラウンドエクステンションで53億円(プレスリリースで発表された93億8,000万円から、登記簿で公表された調達金額を抜いた額)を調達し2位に続いた。

2025年9月の資金調達額の合計をランキング形式で並べた。原則的に登記簿から取得した調達日を優先しており、次点でプレスリリースなどの公式発表も集計している。

1位はクラウド型経費精算システム「バクラク経費精算」を提供するLayerXで、シリーズBラウンドにて、150億円を調達した。

AI・LLM技術を活用しバックオフィスと資産運用を効率化するAIクラウドサービス「バクラク」などを提供するスタートアップ。

「バクラク」は、稟議・経費精算・請求書処理・法人カード管理といった企業のバックオフィス業務を、AIエージェントによる自動判定や入力補助で効率化するAI SaaSである。15,000社以上に導入されており、2024年には勤怠管理など人事領域にも事業を拡大。さらに、AI・LLM事業では大企業への導入が進む生成AIプラットフォーム「Ai Workforce」を提供している。

今後はエンジニアの採用強化やAIによる業務効率化を通じ、世界的に競争力ある報酬体系を実現する方針だ。

2位は磁場閉じ込め方式の核融合炉において、プラズマ状態を作り出すために必要な加熱システム「Plasma Heating System」の研究開発を行う京都フュージョニアリングで、シリーズCラウンドエクステンションで53億円(プレスリリースで発表された93億8,000万円から、登記簿で公表された調達金額を抜いた額)を調達した。

同社は、フュージョンエネルギーの社会実装を目指し、フュージョン熱サイクルシステム、燃料サイクルシステム、プラズマ加熱装置など、核融合炉の構成要素となるエンジニアリングシステムを開発している。特に、液体金属ループを用いた模擬プラントでの発電技術実証「UNITY-1」や、燃料循環システム統合実証を行う「UNITY-2」など世界初の試みに取り組んでおり、日加連携による国際的な研究体制も構築。さらに、国内の民間主導プロジェクト「FAST」にも参画し、2030年代の発電実証に向けた技術統合と試験施設の整備を進めている。同社の技術は、エネルギー・発電業界の中でも特に核融合炉や次世代発電領域に特化しており、世界各国の研究機関や企業と連携しながら事業を展開している。

今後は、フュージョンエネルギーの実証試験および商業化に向けた設備投資や研究開発を加速する方針だ。

3位はWebで完結できるオンライン金融サービス「labol」の運営を手がけるラボルで、32億円を調達した。

「labol」は、従来の金融審査では与信が困難とされてきたフリーランスに対して、独自のAI技術を活用した与信モデルを用いて請求書買取やクレジットカード後払い機能を提供するFinTechサービスだ。急な資金需要に対応できる柔軟な金融手段として、働き方の多様化が進む中で急速に支持を拡大している。特に、2024年11月に施行された「フリーランス保護新法」により、制度的な後押しも受ける形でサービスニーズが高まっており、チャレンジャーバンク構想のもと、ワンストップで金融サービスを提供する体制構築を進めている。

今後はAI技術の研究開発、新規事業やM&Aによる事業拡張、採用・組織体制の強化を通じて、フリーランス向けチャレンジャーバンクの実現を目指す方針だ。

【2025年上半期】国内スタートアップ投資動向レポート

日本のスタートアップは、世界の経済動向や技術の進化に対応しながら、状況を変化させている。2025年上半期の資金調達金額は速報値で3,810億円で着地し、未だ調達環境が良くなってきているとは言えず横ばいの状態だった。米国では、前期に続きAI関連企業への集中が顕著で、PitchBookのデータによると、2025年Q1時点でAIへの資金調達額は全体の約7割に達している。こうした環境の中で、日本の国際競争力を高めるために注力すべき成長産業は何か。本レポートでは、日本の成長産業の変化を捉え、今後の成長の可能性を分析する。これからの日本の経済成長の鍵を見出すために、本レポートが一助となれば幸いである。

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