日本のスタートアップは、世界の経済動向や技術の進化に対応しながら、状況を変化させている。
2024年の年間の資金調達金額は2年ぶりに1兆円を超えた。
しかし、米国に比べると、依然として調達金額の差は歴然だ。
国内においても大きな伸長を遂げていないことから、まだまだ調達環境が良くなってきているとは言えず、投資家もスタートアップも選択と集中を図る状態が続いている。
24年、世界的なトレンドはAIだった。米国ではAI関連企業が巨額の資金を調達し、AIを活用した新たな産業構造が生まれつつある。日本でもSakana AIがユニコーン企業になるなど、AI分野への関心は高い。
こうした環境の中で、日本の国際競争力を高めるために注力すべき成長産業は何か。
また、スタートアップの出口戦略や成長戦略も多様化している。
M&Aやセカンダリー取引の活発化により、IPO以外の選択肢が広がった。
M&Aにおいては、大企業がオープンイノベーションを加速させる手段として、
スタートアップを買収するケースが増えている。
さらには、ロールアップ型M&Aが上場会社のみならず、未上場スタートアップのコーポレートアクションにも取り入れられていることは注目に値する。
本レポートでは、日本の成長産業の変化を捉え、今後の成長の可能性を分析する。これからの日本の経済成長の鍵を見出すために、本レポートが一助となれば幸いである。
2024年の年間のスタートアップ資金調達金額は速報値で1兆891億円(前年比10.6%増)となり、2年ぶりに1兆円を超える結果となった。これは新株を発行するエクイティファイナンスや融資・社債などのデットファイナンス、それに補助金やクラウドファンディングなど、複数の手法による調達の合計値となる。
また、資金調達を実施したスタートアップは速報値で2,272社(前年比11.7%減)、確定値で2,691社で、資金調達金額と同様に社数に関しても横ばいである。
国内スタートアップの資金調達環境は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げなどの影響を受けて21年末ごろに調整局面入り。FRBは24年9月に利下げに転じたが、調整局面は続いている。
一方、日銀は24年3月にマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切った。7月にはさらなる利上げを実施。25年に入ってからも1月に追加利上げを決定し、政策金利は08年10月以来、17年ぶりの高い水準となった。今後、こうした金利環境の変化が投資マインドにどの程度の影響を与えるのか注目したい。
本レポートはこうした資金調達の概況だけでなく、大型のファイナンスを実行したスタートアップの分析やIPO・M&Aイグジットの情報などを網羅している。
1:はじめに
2:資金調達金額・社数の概況
3:資金調達金額の分布・平均値・中央値の推移
4:エクイティ及びその他の資金調達概況
5:シリーズ別の資金調達概況
6:資金調達金額ランキング
7:評価額ランキング
8:投資家概況
9:セクター別 資金調達金額・社数の概況
10:EXIT概況
11:買収概況
12:ファンド概況
13:大学発概況
14:終わりに
公開に合わせ、昨年から大変好評を頂いている解説セミナーを開催致します!
本セミナーでは、資金調達額や投資家属性別のトレンド、それに注目の大型調達やEXIT事例など独自調査の結果をグラフィックで視覚化しながら、
最先端で活躍するVCお二人にご解説を頂きます。
ディープテック領域の盛況や出口戦略の多様化(大型IPO、大型融資、M&A)など様々な動きがあった2024年。国内スタートアップエコシステムではどのような動きがあったのか。
スタートアップの"今"と"今後の展望"を「最速」で読み解き、質問もできる1時間半です。
・CVCなど、事業会社で投資担当をしている
・国内の最新スタートアップ動向を知りたい
・ファンド、投資家、産学連携など成長産業における最新動向を網羅したい
・今、勢いのあるスタートアップを見つけたい
・IPOやM&A、事業提携などの傾向を知って、自社に活用したい
開催日時:2025年2月27日(水)13:00~14:30
参加料:無料
参加方法:オンライン視聴
主催:フォースタートアップス株式会社(STARTUP DB)
※競合企業様などのご参加をお断りする場合がございます。予めご了承くださいませ。
※動画視聴方法につきましては、お申し込みいただいた方へのみご案内させていただきます。
2006年グロービス・キャピタル・パートナーズ入社、2012年同社パートナー就任、2013年最高執行責任者就任、2019年同社代表パートナーに就任。同社は、国内向け独立系ベンチャーキャピタルとして最大規模の累積1,100億円を運用。主なトラックレコードは、Visional(旧ビズリーチ)、Yappli、クリーマ、アカツキ、ブイキューブ、ライフネット生命保険、Quipper、キラメックス。主な投資担当先は、スマートニュース、アンドパッド、READYFOR、akippa、アグリメディア、FLYWHEEL、リノベる。、tebiki、セイビー、TERASS、ナレッジワークなど。2021年日本ベンチャーキャピタル協会理事就任(現任)、2024年同協会ナレッジ部会部会長就任(現任)。東京大学工学部非常勤講師(現任)。同社以前は、経営コンサルティング会社(現PwC)にて、プロジェクトマネジャーを歴任。東京大学法学部卒。
2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社(現:大和企業投資株式会社)入社。主にネット系スタートアップの投資業務及びファンド組成管理業務に従事。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。2015年より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会企画部長を兼務。その他ファンドエコシステム委員会委員長やLPリレーション部会部会長等を歴任。2023年同協会理事就任。
慶應義塾大学環境情報学部卒業、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)にて転職サイト「DODA」(現doda)立ち上げなどを経て、2016年に株式会社ネットジンザイバンク(現フォースタートアップス株式会社)を創業、代表取締役社長に就任。2014-15年「Japan Headhunter Awards」にて「Headhunter of The Year」2年連続受賞、2016年に国内初「殿堂」入りHeadhunter認定。2019年より日本ベンチャーキャピタル協会ベンチャーエコシステム委員会委員、2020年より経団連スタートアップ委員会企画部会/スタートアップ政策タスクフォース委員に就任。2021年に公益社団法人経済同友会入会。2022年に一般社団法人関西経済同友会に入会。2023年『スタートアップで働く』(ディスカバー・トゥエンティワン)を出版。