2024年10月に発表された資金調達を金額ベースでランキング形式にまとめた。
貧困層向け小口融資のマイクロファイナンス事業を行う五常・アンド・カンパニーが、シリーズFラウンドで48億円を調達し(ラウンド合計175億円)トップに立った。
自然言語処理技術を使ったSaaSプロダクト「Anews」を提供するストックマークが、シリーズDラウンドにおいて45億円の調達を実施し2位に続いた。
ランキングは以下の通り。(登記簿から確認された調達、もしくは発表日をベースに集計している)
1位は途上国を中心とするマイクロファイナンスを展開する五常・アンド・カンパニーで、シリーズFラウンド合計で175億円を調達した。(48億円はシリーズ合計から差し引いた10月推定調達額である。)
同社は、2014年に設立され、アジアやアフリカの12カ国で事業を展開するホールディングカンパニーである。主に途上国においてマイクロファイナンス事業を手がけ、低価格で良質な金融サービスを提供することで、金融包摂を推進している。グループ全体で240万人以上の顧客を持ち、貸付金総額は1,200億円を超える。同社は、金融を通じて貧困層の生活を向上させ、誰もが自らの未来を選べる社会の実現を目指し、低所得層向けの融資やデジタル金融ソリューションなど、地域のニーズに応じたサービスを展開している。
調達した資金を通じて、既存事業の財務基盤強化やグループ会社の負債調達支援を進めると共に、アフリカ市場への進出を含む事業展開を進めていくとしている。今後も資金調達の多様化を図りながら、持続可能な成長と金融包摂の拡大に注力する計画だという。
2位は自然言語処理技術を使ったSaaSプロダクト「Anews」を提供するストックマークで、シリーズDラウンドにおいて45億円を調達した。
同社は、AI技術を活用したエンタープライズ向けプロダクトを提供する企業であり、主力製品としてビジネス情報の検索と解析を行う「Anews」および生成AI技術を基盤とする「Stockmark A Technology(SAT)」を展開している。国内エンタープライズ市場での認知を広げる一方、独自に開発した大規模言語モデル(LLM)を活用したデータ構造化プロダクトを新たに開発し、生成AI技術の応用にも注力している。同社は、研究開発や人材採用に積極的に投資し、国内外の市場での競争力を高めることを目指している。
今回の資金調達で、生成AIや大規模言語モデル(LLM)を活用したデータの構造化技術に力を入れ、エンタープライズ向けサービスの競争力を強化するという。さらに、国内のM&Aやアライアンスによる技術・事業分野でのシナジー創出、中長期的には海外展開も視野に入れているそう。
3位は小型ロケットの開発及び打ち上げ事業を行うスペースワンで、最新の資金調達により、出資および融資を合わせた累計調達額が200億円を超えたことを発表した。(41.5億円はシリーズ合計から差し引いた10月調達推定額である。)
同社は人工衛星を搭載する小型ロケット(カイロス)の開発から打上げまでを一貫して開発・実行を担っており、国内で唯一、同社運営のロケット打上げ射場(スペースポート紀伊)を保有している。スペースポート紀伊は、本州最南端に位置する和歌山県串本町に位置し、打上げの軌道高度や軌道傾斜角についても柔軟に対応できるという立地上の強みを持っている。
今後、同社は2024年12月に自社開発の小型ロケット「カイロス」2号機の打上げを予定しており、自社のロケット発射場「スペースポート紀伊」からの打上げを計画。これにより、小型ロケット市場での競争力強化を目指すとしている。
4位は、ダイヤモンド半導体の製造及び販売を行う大熊ダイヤモンドデバイスで、Pre-Aラウンドで40億円を調達した。
同社は、既存の半導体と比較して高い効率性や耐久性を持つダイヤモンド半導体を量産することを目指している。この半導体は、特に6G通信や宇宙開発、さらに福島第一原子力発電所の廃炉計画においても重要な技術となる見込みで、極度の環境下でも動作可能な性能が期待されている。
今後、同社は2024年度中に工場建設を開始し、2026年度には稼動を予定している。これにより、ダイヤモンド半導体の商用化が進み、次世代通信技術や宇宙産業など多様な分野への展開が期待されている。
概要
当日の流れ
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