2024年に発表された資金調達を金額ベースでランキング形式にまとめた。
生成AI領域における基盤モデルの研究開発をするSakana AIは、年間累計で383.4億円を調達しトップに立った。
貧困層向け小口融資のマイクロファイナンス事業に取り組む五常・アンド・カンパニーが累計334.3億円を調達し2位に続いた。
2024年年間での資金調達額の合計をランキング形式で並べた。原則的に登記簿から取得した調達日を優先しており、次点でプレスリリースなどの公式発表も集計している。
1位は生成AI領域における基盤モデルの研究開発をするSakana AIで、年間合計で383.4億円を調達した。
同社は、2023年7月に設立された新進気鋭のAI研究開発企業で、自然界の仕組みを参考にした新しいAI基盤モデルの開発に注力している。同社は小規模な生成AIモデルを効率的に組み合わせ、高性能かつ省エネルギーなAIを実現する技術を持つ点が強みである。巨大なコンピューターと大量のデータを用いる従来のAI開発手法とは一線を画し、特にコストや電力消費を抑えながら高い性能を発揮する技術が注目されている。また、同社の名前「サカナ(魚)」には、自然の進化や集団知能といったコンセプトが込められており、従来の手法にとらわれず新たなパラダイムを追求していく姿勢を表している。
2024年9月にNVIDIAとの協業を通して、同社は日本国内におけるAI研究開発の拠点を強化し、NVIDIAの最先端GPU技術を活用した省エネ型のAI開発を進めていくという。今後もAI人材育成やコミュニティの活性化に注力し、国際競争力を高めることを目指しているという。
2位は途上国を中心とするマイクロファイナンスを展開する五常・アンド・カンパニーで、2024年年間で334.3億円の資金調達を実施した。
同社は5カ国9社のグループ会社を通じ、途上国において中小零細事業向け小口金融サービス(マイクロファイナンス)を展開している。金融包摂を世界中に届けることをミッションとして2014年7月に設立され、低価格で良質な金融サービスを2030年までに50カ国1億人以上に届けることを目指している。2024年3月末時点でインド・カンボジア・スリランカ・ミャンマー・タジキスタンに1万人を超えるグループ従業員を擁し、融資顧客数は240万人(女性比率95%超)、連結融資残高は1,200億円を突破するなど、ソーシャルインパクトを生み出している。
今後は調達資金を活用し、インドやタジキスタンなどの既存市場での拡大やアフリカ地域への事業進出を進め、金融包摂の推進を図っていく方針だそう。また、借入手段の多様化とコストの最適化を通じ、持続的な成長を実現するための資本基盤を強化していく意向であるという。
3位は電力の小売り、卸売取引などを手掛けるエナジーグリッドで、年間総額314.8億円の資金調達を実施した。
同社のサービスは、旧一般電力電気事業者や商社から電力をまとまったボリューム(10MW~50MW)で調達し、新電力会社に小分け(0.1MW~5MW程度)にして販売するビジネスモデルだ。同社がポジションを取って先物取引やデリバティブ、オプション取引等の金融手法を用いることで、電力価格の大きな変動を抑え、新電力各社に電力の安定的な調達機会を提供している。2024年8月には、シタデルへ全株式を譲渡し、日本の電力市場を一段と発展させる方針だ。
4位は「AI開発用GPU専用データセンター」の開発を行うハイレゾ香川で、2024年年間で230.9億円の資金調達を実施した。
同社は、親会社であるハイレゾが香川県に設立した特別目的会社であり、香川県内の既存研究施設「RISTかがわ」や廃校となった「旧綾上中学校」の体育館を一部改装し、データセンターを開発する計画だ。都心部に集中しがちなデータセンターを地方の施設に設置することで、開発コストを抑え、国内の幅広い事業者に対し、低価格でAI向けサービスを提供することを目指している。
今後は地域経済の活性化を図るとともに、国内におけるAIインフラの重要拠点として事業拡大を進めていく意向を示している。
12月までの資金調達額の合計をランキング形式で並べた。原則的に登記簿から取得した調達日を優先しており、次点でプレスリリースなどの公式発表も集計している。
深層学習・AIワークロード向けのクラウドサービス「Preferred Computing Platform™(PFCP™)」などを提供する東京大学発のPreferred Networksは、2024年12月に累計で120億円を調達しトップに立った。
アプリを用いて管理を行う“ホテル兼自宅”物件「NOT A HOTEL」の販売、運営を行うNOT A HOTELが累計105億円を調達し2位に続いた。