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スタートアップのミッション・ビジョン・バリューのあり方めぐり議論 スタートアップエコシステム協会

2023-06-21
STARTUPS JOURNAL編集部
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STARTUPS JOURNAL編集部

スタートアップの組織づくりに多く用いられる「ミッション・ビジョン・バリュー」をテーマにしたセミナーが都内で開かれ、従業員の共感を高めるための策定のあり方などについて出席者が意見を交わした。

このセミナーはスタートアップエコシステム協会(SEAJ)が主催したもので、12回連続で開かれる研究プロジェクトの第1回。スタートアップの「ミッション・ビジョン・バリュー」をテーマに、実際に組織開発に携わっている当事者たちが自身の体験やそこから得た知見などについて語り合った。

セミナーではまず、産直EC「食べチョク」を運営するビビッドガーデンの山下麻亜子・COOがこの春に刷新されたばかりのバリューを紹介。「全員が船を漕ぐ」「ハイスタンダード」「10倍の収穫」「夢中を吹き込む」の4つから構成され、「かなり抽象度を高くして、第一次産業や我々らしさをワーディングに盛り込んだ」と話した。

ビビッドガーデンの山下麻亜子・COO

バリューには「全員が納得していなくても強いWillを持って進む」という文言も含められていて、山下氏はその狙いについて「『これをやれば生産者のためになる』とか『売上が10倍になる』と信じた人がしっかり突き進むことでドライブする、という要素を入れたかった」と解説した。

これに対し、モデレーターを務めるAlmohaの唐澤俊輔・COOは「全員で合意形成しようとすると、中庸というか尖らないものになることがある。全員のコンセンサスがすぐに取れない部分もあえて組み込んで組織の方針を明確にしていると感じた」と応じた。

続いて、ヘアケア・ボディーケアブランドなどを展開するI-neの杉元将二・執行役員が、中途採用を強化し従業員を大幅に増やした段階で「絵に書いたような組織崩壊」が起きた経験を明かした。

杉元氏は、スキルや経験値を重視して採用を進めた結果、既存メンバーとの間で「思いが一致しない」状態が生まれたと指摘。創業時から大事にしてきた理念として「イノベーション」「圧倒的なコミット」「リスペクト」を改めて掲げ、採用方針にも反映させたところ「方向性のある人だけが残り、ずれがなくなってきた」と振り返った。

Almohaの唐澤俊輔・COO(左)とI-neの杉元将二・執行役員(右)

企業のブランド開発などを手がけるNEWPEACEの高木新平・CEOは、経営者と対話しながらCI(コーポレートアイデンティティ)やビジョン策定にも携わる。相談されるタイミングについて「上場前後が一番多い。スタートアップの多くは1つの事業を成長させることに全集中しているが、上場時には第2、第3の事業シナリオが必要になる。その時に初めて『企業としてのアイデンティティ』が問われる」と語る。ビジョンは「意志を持って描く未来の景色。どんな優秀な経営者でも自分ひとりで非連続な点を打つのは難しい。だから編集者的な立ち位置で並走し、表現化する存在が必要になる」と指摘する。一方で、バリューについては「文化である以上、組織に根付く言葉やふるまいでなければならない。社外の人間が作ると、表現は綺麗でもワークしないものになりがち。変わらない部分にこそ価値がある」と考えを述べた。

NEWPEACE高木新平・CEO

次回のセミナーは6月26日に開催される。テーマは「目標管理」だ。

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