2023年の1年間に国内スタートアップが調達した資金の総額は9,037億2,300万円だったことが、STARTUP DBの調査で分かった。数字は速報値のため今後一定程度の上昇が見込まれるものの、22年比でマイナスとなるのは確実な勢い。最終的な調達総額が1兆円を割り込めば、20年以来3年ぶりとなる。
2023年に国内のスタートアップが調達した資金は9,037億2,300万円だった。これは新株を発行するエクイティファイナンス(用語解説)だけでなく、融資などのデットファイナンス(用語解説)、それにクラウドファンディングによる調達などの総額だ。
あくまで速報値であり、今後一定程度の増加が見込まれるが、現時点では2022年(1兆2,516億9,500万円)から3,479億7,100万円、率にして28%ほど減少している。確定値は1兆円前後になるとみられる。
国内スタートアップの資金調達環境は、アメリカ中央銀行の利上げなどを背景に2021年末ごろから調整局面に突入した。2022年は長めのランウェイ(用語解説)を確保する動きや、デットファイナンスをはじめとする調達手法の多様化などが進み、1兆円規模を保った。23年上半期から減少傾向が顕在化し始めていた。
グローバルと比較すれば、マクロ経済環境の国内に対する影響は限定的だ。全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)によると、2023年のアメリカのスタートアップ投資額は1,706億ドルと前の年から3割減った。これに対し、国内のエクイティ調達は対前年比でマイナス12%程度で着地する見込みとなっている。
調達手法をごとの状況を見ると、デットファイナンスや新株予約権付社債などのベンチャーデット(解説記事)を含む調達金額は比較的堅調に推移している。一方でエクイティファイナンスの減少幅がやや大きくなっている。
100億円を超える資金調達は13件確認された。脱炭素につながる技術や、人手不足問題に取り組むロボティクス関連企業、それに宇宙スタートアップなどが大型調達を実施していて、言語や国境を問わないビジネスを展開できる「ディープテック」に対する注目の高まりが窺える。
STARTUP DBは、「2023年 年間投資動向レポート」を2024年2月1日(木曜日)に公表する。
国内スタートアップエコシステム全体の資金調達トレンドから、エクイティなど調達手法別の傾向、それにIPO・M&Aなどのイグジット状況などを俯瞰し、エコシステムの今を数字とともに浮き彫りにしていく。
さらに独立系VC・金融系VC・CVCと事業会社など、属別の投資動向も分析。事業の進捗を示す「シリーズ」ごとの調達状況も可視化する。
STARTUPS JOURNALの新着記事が届き、なおかつスタートアップのファイナンス情報まで閲覧可能になるメールマガジン登録をすると無料でダウンロード可能だ。
(※メールマガジンはSTARTUP DBのSTANDARD会員として登録されますが、機能・内容は同一です)
既に会員の方は、以下の「お役立ち情報」一覧からご覧ください。
>お役立ち情報一覧
投資動向レポートの公開に合わせ、最先端で活躍するVCのお二人に国内スタートアップエコシステムの「今」を徹底的に解説してもらうセミナーを開催します。
セミナーでは、資金調達額や投資家属性別のトレンド、それに注目の大型調達やイグジット事例など独自調査の結果をグラフィックで視覚化しながら解説を頂きます。
市況が冷え込んだと言われるなか、国内スタートアップエコシステムではどのような動きがあったのか。
スタートアップの今と2024年の展望を「最速」で読み解き、直接質問もできる1時間半。参加は無料です。
・CVCなど、事業会社で投資担当をしている
・2023年に大型資金調達をした企業を知りたい
・国内の最新スタートアップ動向を知りたい
・ファンド、投資家、産学連携など成長産業における最新動向を網羅したい
・今、勢いのあるスタートアップを見つけたい
・IPOやM&A、事業提携などの傾向を知って、自社に活用したい
開催日時:2024年2月16日(金)12:00~13:30
参加料:無料
参加方法:オンライン視聴
主催:フォースタートアップス株式会社(STARTUP DB)
※競合企業様などのご参加をお断りする場合がございます。予めご了承くださいませ。
※動画視聴方法につきましては、お申し込みいただいた方へのみご案内させていただきます。
2006年グロービス・キャピタル・パートナーズ入社、2012年同社パートナー就任、2013年最高執行責任者就任、2019年同社代表パートナーに就任。同社は、国内向け独立系ベンチャーキャピタルとして最大規模の累積1,100億円を運用。主なトラックレコードは、Visional(旧ビズリーチ)、Yappli、クリーマ、アカツキ、ブイキューブ、ライフネット生命保険、Quipper、キラメックス。主な投資担当先は、スマートニュース、アンドパッド、READYFOR、akippa、アグリメディア、FLYWHEEL、リノベる。、tebiki、セイビー、TERASS、ナレッジワークなど。2021年日本ベンチャーキャピタル協会理事就任。同社以前は、経営コンサルティング会社(現PwC)にて、プロジェクトマネジャーを歴任。東京大学法学部卒。
2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社(現:大和企業投資株式会社)入社。主にネット系スタートアップの投資業務及びファンド組成管理業務に従事。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。2015年より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会企画部長を兼務。その他ファンドエコシステム委員会委員長やLPリレーション部会部会長等を歴任。2023年同協会理事就任。
早稲田大学法学部及び復旦大学新聞学院卒業後、2013年に記者として日本放送協会入局。事件・事故報道や選挙報道などに従事したのち、2019年にハフィントンポスト日本版にジョインし中国経済・中国情勢を担当。中国ITや経済安全保障、サプライチェーンの人権保障をめぐる記事やイベントを多数手がける。2022年フォースタートアップス入社。STARTUP DBのアナリスト兼編集者を務める。