限定レポート

【速報】2023年の資金調達金額は9,037億2,300万円。前年比マイナスは避けられない勢い…ディープテックに資金集まる

2024-01-30
高橋史弥 / STARTUP DBアナリスト・編集者
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高橋史弥 / STARTUP DBアナリスト・編集者

2023年の1年間に国内スタートアップが調達した資金の総額は9,037億2,300万円だったことが、STARTUP DBの調査で分かった。数字は速報値のため今後一定程度の上昇が見込まれるものの、22年比でマイナスとなるのは確実な勢い。最終的な調達総額が1兆円を割り込めば、20年以来3年ぶりとなる。

グローバル比較で影響は限定的...ディープテックに牽引役の期待

2023年に国内のスタートアップが調達した資金は9,037億2,300万円だった。これは新株を発行するエクイティファイナンス(用語解説)だけでなく、融資などのデットファイナンス(用語解説)、それにクラウドファンディングによる調達などの総額だ。

あくまで速報値であり、今後一定程度の増加が見込まれるが、現時点では2022年(1兆2,516億9,500万円)から3,479億7,100万円、率にして28%ほど減少している。確定値は1兆円前後になるとみられる。

国内スタートアップの資金調達環境は、アメリカ中央銀行の利上げなどを背景に2021年末ごろから調整局面に突入した。2022年は長めのランウェイ(用語解説)を確保する動きや、デットファイナンスをはじめとする調達手法の多様化などが進み、1兆円規模を保った。23年上半期から減少傾向が顕在化し始めていた。

グローバルと比較すれば、マクロ経済環境の国内に対する影響は限定的だ。全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)によると、2023年のアメリカのスタートアップ投資額は1,706億ドルと前の年から3割減った。これに対し、国内のエクイティ調達は対前年比でマイナス12%程度で着地する見込みとなっている。

調達手法をごとの状況を見ると、デットファイナンスや新株予約権付社債などのベンチャーデット(解説記事)を含む調達金額は比較的堅調に推移している。一方でエクイティファイナンスの減少幅がやや大きくなっている。

100億円を超える資金調達は13件確認された。脱炭素につながる技術や、人手不足問題に取り組むロボティクス関連企業、それに宇宙スタートアップなどが大型調達を実施していて、言語や国境を問わないビジネスを展開できる「ディープテック」に対する注目の高まりが窺える。

エコシステムの今を徹底分析 レポートは2月1日公開

STARTUP DBは、「2023年 年間投資動向レポート」を2024年2月1日(木曜日)に公表する。

国内スタートアップエコシステム全体の資金調達トレンドから、エクイティなど調達手法別の傾向、それにIPO・M&Aなどのイグジット状況などを俯瞰し、エコシステムの今を数字とともに浮き彫りにしていく。

さらに独立系VC・金融系VC・CVCと事業会社など、属別の投資動向も分析。事業の進捗を示す「シリーズ」ごとの調達状況も可視化する。

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開催日時:2024年2月16日(金)12:00~13:30
参加料:無料
参加方法:オンライン視聴
主催:フォースタートアップス株式会社(STARTUP DB)
※競合企業様などのご参加をお断りする場合がございます。予めご了承くださいませ。
※動画視聴方法につきましては、お申し込みいただいた方へのみご案内させていただきます。

▼登壇者プロフィール

株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
代表パートナー 今野 穣

2006年グロービス・キャピタル・パートナーズ入社、2012年同社パートナー就任、2013年最高執行責任者就任、2019年同社代表パートナーに就任。同社は、国内向け独立系ベンチャーキャピタルとして最大規模の累積1,100億円を運用。主なトラックレコードは、Visional(旧ビズリーチ)、Yappli、クリーマ、アカツキ、ブイキューブ、ライフネット生命保険、Quipper、キラメックス。主な投資担当先は、スマートニュース、アンドパッド、READYFOR、akippa、アグリメディア、FLYWHEEL、リノベる。、tebiki、セイビー、TERASS、ナレッジワークなど。2021年日本ベンチャーキャピタル協会理事就任。同社以前は、経営コンサルティング会社(現PwC)にて、プロジェクトマネジャーを歴任。東京大学法学部卒。

インキュベイトファンド
代表パートナー 村田 祐介

2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社(現:大和企業投資株式会社)入社。主にネット系スタートアップの投資業務及びファンド組成管理業務に従事。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。2015年より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会企画部長を兼務。その他ファンドエコシステム委員会委員長やLPリレーション部会部会長等を歴任。2023年同協会理事就任。

フォースタートアップス株式会社
STARTUPS JOURNAL 編集長
高橋 史弥

早稲田大学法学部及び復旦大学新聞学院卒業後、2013年に記者として日本放送協会入局。事件・事故報道や選挙報道などに従事したのち、2019年にハフィントンポスト日本版にジョインし中国経済・中国情勢を担当。中国ITや経済安全保障、サプライチェーンの人権保障をめぐる記事やイベントを多数手がける。2022年フォースタートアップス入社。STARTUP DBのアナリスト兼編集者を務める。

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