2024年8月に発表された資金調達を金額ベースでランキング形式にまとめた。
iPS-T細胞治療プラットフォーム「Katana」を開発する京都大学発のShinobi Therapeutics, Inc.が、シリーズAラウンドで98億5,000万円を調達しトップに立った。
マルチモーダルAI「REO」を提供するRUTILEAが、シリーズDラウンドで総額86億円を調達し2位に続いた。
ランキングは以下の通り。
(登記簿から確認された調達、もしくは発表日をベースに集計している)
1位はiPS-T細胞治療プラットフォーム「Katana」を開発する京都大学発のShinobi Therapeutics, Inc.で、三菱UFJライフサイエンス4号投資事業有限責任組合、Yosemiteと日本医療研究開発機構からエクイティおよび助成金により、シリーズAラウンドで98億5,000万円を調達した。
同社は、米国サウスサンフランシスコと京都に拠点を置くバイオテクノロジー企業で、京都大学iPS細胞研究所の金子新教授が研究したiPS細胞由来T細胞作成技術と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のTobias Deuse教授による最先端の免疫回避技術を融合して誕生した。同社の革新的な「Katana」プラットフォームは、がんや自己免疫疾患といった難治性疾患に対するoff-the-shelfの低免疫原性iPS細胞由来T細胞医薬の開発に焦点を当てている。この技術により、患者の免疫システムに協調して機能する治療法が実現し、従来の治療法における免疫拒絶の問題や製造コストの課題を解決することを目指している。
今回の調達は、三菱UFJキャピタルのネットワークを活用し、世界規模で細胞医薬の普及を目指していく。また、「Katana」プラットフォームを基に、がんや自己免疫疾患に対する新たな治療法の臨床応用を加速し、グローバルなバイオテクノロジー企業として成長していく予定である。
2位はマルチモーダルAI「REO」を提供するRUTILEAで、シリーズDラウンドのエクイティファイナンス及びデットファイナンスで総額80億円を調達した。
RUTILEAは「AIを簡単に。」をミッションに掲げ、特定の業界に特化したバーティカルAI事業を推進する企業である。特に中央省庁や自動車産業向けのAIソリューションを提供し、精度の高いAIを迅速に導入可能にすることで、顧客の労働生産性向上を支援している。また、2024年には福島県にGPUデータセンターを設置し、AI開発プラットフォーム事業を開始する予定だ。
今回調達した資金は、RUTILEAの100%子会社AI福島が手がけるGPUデータセンターの整備や新規事業への投資に充てられる予定だ。今後、RUTILEAグループは、AI技術を活用したプラットフォーム事業のさらなる拡大を目指し、エンジニアや営業の採用を強化していく見込みである。
3位は水替え不要の“閉鎖循環式陸上養殖システム”などを開発するFRDジャパンで、総額57億円を調達した。
FRDジャパンはバクテリアを活用した高度濾過技術を持ち、天然海水を使わずに陸上で魚が養殖できる「閉鎖循環式陸上養殖」を展開している。これまで千葉県木更津市と埼玉県さいたま市の実証実験プラントで5年間、サーモントラウトの養殖を続けてきた。
同社はこうした運営経験から「独自の閉鎖循環システムの改良と、養殖オペレーションの効率化の両面において、商業プラントに着手するだけの十分な知見を積み上げてきた」とし、千葉県富津市にて商業プラントの建造に踏み切る。プラントは2023年7月に着工する予定で、2027年からは、年間3,500トン規模のサーモントラウトを生産・販売したいとしている。