ランキングレポート

国内スタートアップ資金調達金額ランキングレポート(2019年1〜8月)

2019-09-18
STARTUPS JOURNAL編集部
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STARTUPS JOURNAL編集部

近年、大型資金調達のニュースが多く見受けられる。日本経済新聞によると、2017年に比べ、2018年に資金を調達したスタートアップは企業数こそ減っているものの、STARTUP DB調べで合計資金調達額は1.5倍に伸びている。5年で見ると、4倍にまで伸びている。つまり、1社あたりの金額が増加しているということが言えるだろう。大学とスタートアップの提携や、経済産業省によるスタートアップ支援プログラム”J-Startup”、INCJをはじめとする官民ファンド設立など、産官学問わず動きが活発になっている。更には、大手企業もオープンイノベーションに乗り出し、CVCを設立するケースも増えており、スタートアップエコシステムの活性化も年々進んでいる。そんななか、2019年もいくつもの大型資金調達が実施されている。本記事では2019年1月〜8月までの合計資金調達金額をランキングとして紹介する。

2019年1〜8月もっとも資金を集めたのはフロムスクラッチ

2019年1月〜8月までの期間でもっとも資金を集めたのは、マーケティングプラットフォーム「b→dash」の開発をおこなうフロムスクラッチで100億円だ。次いで「Autoware」を活用した自動運転システムの開発をしているティアフォーの90億円、小型SAR衛星「StriX」の開発を行うSynspectiveが87億円と続く。

Topics1:ディープテック系、SaaS系のスタートアップが多い

TOP20位のうち、宇宙ロケット、ロボット、自動車などのディープテック系のスタートアップが6社ランクイン。ディープテック系のスタートアップで大きな資金調達をしたのは、以下の企業だ。

ティアフォーSynspectiveMUJINSpiberアストロスケールホールディングスGROOVE X

他には、フロムスクラッチSmartHRヤプリなどのSaaS系の企業が上位にランクインしている。中でも2019年7月に発表されたSmartHRの61.5億円の調達したニュースは話題を呼んだ。アメリカで上場しているSaaS企業は現在50社以上あり、それらの売上継続率の中央値は120%を超える。SlackやZoomのような伸び盛りの企業にもなると、売上継続率が140%〜180%SmartHRの売上継続率は現在130%近くあり、アメリカで伸びているSaaS企業と比べても見劣りしない成長率を誇る。

Topics2:海外企業からの投資が目立つ

今回のランキングに入っている企業だけを見るとSaaS系企業に関して海外企業が投資している傾向にある。

- フロムスクラッチ引受先海外企業:KKR- SmartHR引受先海外企業:Light Street Capital、ほか1社

ここで注目したいのはフロムスクラッチSmartHRの引受先だ。フロムスクラッチの引受先となったKKRは、初の日本スタートアップへの投資である。KKRがリード投資家として40億円を出資している。さらにSmartHRに出資したLight Street CapitalはSlackやShopify、Uberといった世界屈指の企業に投資している。もう1社海外企業から調達しているが、残念ながら社名は公開されていない。非公表海外企業に関しては、SmartHR代表宮田氏のブログで「世界で最も著名な投資家のうちの1社」と明かされている。本記事は今後も継続的に連載していくので、今後の資金調達ランキングの動向にぜひ注目していただきたい。

【2025年上半期】国内スタートアップ投資動向レポート

日本のスタートアップは、世界の経済動向や技術の進化に対応しながら、状況を変化させている。2025年上半期の資金調達金額は速報値で3,810億円で着地し、未だ調達環境が良くなってきているとは言えず横ばいの状態だった。米国では、前期に続きAI関連企業への集中が顕著で、PitchBookのデータによると、2025年Q1時点でAIへの資金調達額は全体の約7割に達している。こうした環境の中で、日本の国際競争力を高めるために注力すべき成長産業は何か。本レポートでは、日本の成長産業の変化を捉え、今後の成長の可能性を分析する。これからの日本の経済成長の鍵を見出すために、本レポートが一助となれば幸いである。

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