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「目標管理の失敗と成功」をテーマに議論 スタートアップエコシステム協会

2023-07-14
STARTUPS JOURNAL編集部
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STARTUPS JOURNAL編集部

組織と個人の能力を最大化するための「目標管理」のあり方をテーマにしたセミナーが都内で開かれ、組織開発の経験が豊富な有識者らが意見を交わした。このセミナーはスタートアップエコシステム協会(SEAJ)が主催したもので、12回連続で開かれる研究プロジェクトの第2回目。「『目標管理』の失敗と成功」とテーマとして、組織のゴール設定や社会的意義、それに価値観への高い共感の醸成などをどのように実現するかなどについて、トークセッションが繰り広げられた。まず、20年以上にわたり人事領域を専門としてきたという壺中天の坪谷邦生・代表取締役が、目標管理(MBO)について「MBOは“Management by Objectives and Self-control”のこと。マネジメントは組織を使って成果を上げていくことで、Objectivesは共通の客観的な目標だが、そこにSelf-controlが加わることが非常に大切だ」と指摘した。

そのうえで、「経営者と人事が『管理』するためものとよく誤解されるが、本来は『ものの見方・考え方』のこと。『自ら果たすべき貢献を明らかにする』というSelf-controlが重要だ」と自説を展開した。ビズリーチ酒井哲也・代表取締役社長は「『何の目標にこだわりますか』という部分と、『決めたものをどう運用しますか』ということがセットになっている。2つの認識がすり合わせ出来ているかが大切」と話した。

また、Scale Cloudの広瀬好伸・代表取締役は目標を設定するうえで「数字を悪者にしている会社・人が多いと思う。数字自体は悪くなく、そこに感情を乗せるから『詰められている』などと感じる社員が多いのだと思う」と指摘。これには壺中天の坪谷氏も「数字には怒りの感情ではなくて、組織の使命を載せないといけない」と応じた。広瀬氏が「自分がどこに向かっているのかが分からないと、スタッフも共通認識を持ちづらい」と話すと、今度は酒井氏が「自分のやっていることが会社にどう貢献出来ているかが見えづらいのはよくない」と同調。ビズリーチの取り組みとして毎月1回は全従業員を集めた朝会を実施していることに触れ「自分の好きなこと、得意なことで会社に貢献出来ているということが階層を広げていく」と訴えた。WAmazing加藤史子・代表取締役CEOは大学卒業後に入社したリクルートでの体験を披露。「『Will Can Must シート』を書いていた。Willは自分のやりたいこと、Canは出来ること、Mustはやるべきこと。3つの重なりの円を大きくしていきなさいと言われた」と振り返った。これに対し坪谷氏は「まさにキャリアアンカーという考え方だ。そこに組織の主観が入るともっとうまく回るのではないか」と評した。

次回のセミナーは7月18日に開かれる。テーマは「従業員のエンゲージメントを高める経営陣のコミュニケーション」だ。

【2025年上半期】国内スタートアップ投資動向レポート

日本のスタートアップは、世界の経済動向や技術の進化に対応しながら、状況を変化させている。2025年上半期の資金調達金額は速報値で3,810億円で着地し、未だ調達環境が良くなってきているとは言えず横ばいの状態だった。米国では、前期に続きAI関連企業への集中が顕著で、PitchBookのデータによると、2025年Q1時点でAIへの資金調達額は全体の約7割に達している。こうした環境の中で、日本の国際競争力を高めるために注力すべき成長産業は何か。本レポートでは、日本の成長産業の変化を捉え、今後の成長の可能性を分析する。これからの日本の経済成長の鍵を見出すために、本レポートが一助となれば幸いである。