宇宙スタートアップのispaceは11月16日、都内で記者会見を開き、準備を進めている月面の資源探査プロジェクトについて詳細を発表した。月着陸船の打ち上げは早ければ2024年冬に実行される予定で、着陸に成功した場合は自社開発の小型月面探査車(マイクロローバー)に備え付けたスコップで月面を覆う砂を採取する。
ispaceは「ペイロード」と呼ばれる荷物を月面に輸送するサービスなどを展開する宇宙スタートアップ。2023年4月には「ミッション1」プロジェクトとして民間企業では世界初となる月面着陸に挑んだが、ソフトウェアの不具合などが原因で失敗していた。
同社は従来から並行して後継プロジェクトを進めていて、16日に都内で実施した会見では「ミッション2」の詳細を公表した。
このプロジェクトでは改めて月着陸船(ランダー)の着陸を目指すとともに、欧州の子会社が開発した小型月面探査車(マイクロローバー)を走らせ初期的な資源探査にも着手する。具体的には、マイクロローバーに備え付けたスコップで月面のレゴリス(砂)を数グラム程度掬い上げて採取する。
レゴリスは地球に持ち帰れないが、所有権をNASA=アメリカ宇宙航空局に譲渡する契約となっている。レゴリスの採取を確認するための映像データも提出する。ispaceによると、将来的に月の資源売買が実現することを想定した実証実験としての意味合いが強いという。
会見ではあわせて、早ければ2024年冬ごろにスペースX社のロケットを使用して打ち上げることも公表された。ispaceにとってはミッション1の失敗から得た教訓を活かしたいチャレンジで、袴田武史・CEOは「ispaceはレジリエンス(再起・回復)な組織だ。豊富な経験とデータを活かして着陸とその先を実現する」と語った。