2025年2月に発表された資金調達を金額ベースでランキング形式にまとめた。
超小型衛星などを開発する東大発のアークエッジ・スペースは、シリーズBで総額80億円を調達しトップに立った。
ペロブスカイト太陽電池技術を開発するエネコートテクノロジーズは、シリーズCで63億円を調達し2位に続いた。
ランキングは以下の通り。(プレスリリースなどの公式発表をベースに集計している)
1位は超小型衛星などを開発する東大発のアークエッジ・スペースで、シリーズBラウンドで合計で80億円を調達した。累計資金調達額は107億円に達したという。
同社は、IoTデータ収集、リモートセンシング、船舶向け通信(VDES)、光通信などに対応可能な6U衛星の開発を進めてきた。また、JAXAと共同で月面測位衛星システムの開発を推進し、低軌道衛星測位(LEO-PNT)技術の確立にも取り組んでいる。これにより、宇宙インフラの拡充と商業利用の拡大を見据えた技術開発を進めている。
今回の資金調達により、同社は商業衛星コンステレーションの構築を加速させ、船舶・海洋の通信ネットワーク強化やリモートセンシング技術の高度化を推進する予定だ。今後は、国内外の政府機関や民間企業との協力を強化し、宇宙技術を活用した地球規模の課題解決と持続可能な開発に貢献することを目指していくそう。
2位はペロブスカイト太陽電池の社会実装の実現に取り組む京都大学発スタートアップのエネコートテクノロジーズで、シリーズCラウンドで総額63億円を調達した。今回の増資により、累計調達額は80億円を超えたそう。
ペロブスカイト太陽電池技術は、従来のシリコン電池を今後数年で上回る効率を達成できる可能性があり、近年注目を集めている。低照度条件での発電、薄型、軽量、柔軟といった特徴を持ち、ヨウ素を原材料としているため、大量生産時には従来のシリコン電池の数分の1の価格で提供できる試算もあることから画期的な技術とされており、今後さらに注目が高まることが予想されているという。
今回の調達資金は、生産・販売体制の構築および事業拡大に活用されるという。また、太陽光発電のサプライチェーンの多様化、IoTデバイスの広範なサポート、新しいモビリティ・アプリケーションの高度化活用が可能なペロブスカイト太陽電池技術の開発加速も図られる予定であるという。
3位は美容師向けシェアサロン「SALOWIN」を手掛けるサロウィンで、シリーズDで総額52億円の資金調達を実施した。調達額には総額25億円の第三者割当増資と、27億円のデットファイナンスが含まれる。これにより、累計調達額は88億円に達したという。
同社は、フリーランス美容師向けのシェアサロン「SALOWIN」をはじめ、美容室開業支援サービス「ALL SHARE」などを展開し、美容師の所得向上や労働環境改善を目指す企業である。2019年に原宿で1号店をオープンして以来、全国に150店舗を展開し、1,500人以上の美容師が利用するまでに成長している。
今後、サロン運営に必要なFinance領域やHR領域などにも進出し、「場所」「人」「情報」を統合する美容業界のグロースプラットフォームの構築を目指すそうだ。今回の資金調達を通じて、美容師や美容室経営者がより自由で持続可能な働き方を実現できる環境を整備し、業界全体の変革に貢献していく計画だそう。