2024年5月に発表された資金調達を金額ベースでランキング形式にまとめた。
電話自動応答を簡単に作成できるサービスを展開するIVRyが、シリーズCの第三者割当増資により総額30億円を調達しトップに立った。
マンガに特化したローカライズ支援ツール「Factory」を運営するオレンジが29億2,000万円で2位に続いた。
ランキングは以下の通り。
(登記簿から確認された調達、もしくは発表日をベースに集計している)
1位は対話型音声AI SaaSを提供するIVRyで、30億円調達した。
IVRyは、人手不足問題に対してDXが遅れている電話の領域に着目し、電話を起点としたAIプロダクトを展開している企業である。IVRyが展開する対話型音声AI SaaSは、企業の規模や業種を問わず安価に誰でも利用できる電話DXサービスである。同サービスでは、電話応答の分岐を自由に設定でき、AI自動応答・SMS返信から顧客管理までフロントオフィスの業務をサポートしているという。
調達した資金は電話DXを通じた業務効率化をさらに多くの事業者へ提供すべく、マーケ&セールス費用に活用するという。また、音声コンパウンドAIシステム基盤を実現するためにAIエンジニア人材の採用の強化を進める計画だそう。
2位はマンガ翻訳事業及び電子マンガストア事業を行うオレンジで、29億2,000万円を調達した。
オレンジは、マンガに特化したローカライズ支援ツール「Factory」を開発し、AI自然言語処理技術を通して、翻訳出版プロセスの大半を自動化する。
今回の資金調達により、マンガ翻訳の規模を拡大し、日本のマンガの現状英訳ペースの約5倍となる月間500冊の翻訳を目標にしているという。また、2024年夏に米国で電子マンガストア「emaqi」をローンチし、未翻訳作品の大量海外展開を目指すそう。オレンジは今後、日本のマンガを世界中の多言語で提供することで、日本国外でのマンガの認知と普及を加速させ、世界へと広めていくそう。
3位は農産物の生産から販売まで一気通貫で展開する日本農業で、シリーズCの資金調達として16億5,000万円を調達した。
今回の資金調達は、農林中央金庫、慶應イノベーション・イニシアティブ、日本政策投資銀行など12社が第三者割当増資、宇都宮農業協同組合、日本政策金融公庫、群馬銀行など10社が融資であった。
日本農業は、農産物の輸出業務に関して生産者や生産組合への営業から海外小売り・輸入業者への営業、最適な物流のアレンジから現地マーケティングまで一気通貫で行うという。
今後の展望として、国内外の販路開拓や組織力の強化を図るなど新たなバリューチェーンの構築に取り組み、持続可能な農業モデルの構築を目指していくそう。
4位はGXを推進する高機能フィラー「DIA」の開発をするGX MINERALSで、複数の金融機関が協調して融資を行う資金調達手法であるシンジケートローンにて、15億円の資金調達を実施した。
2023年に創業したGX MINERALSは樹脂製の自動車部品などの強度を高め、リサイクルに適した新素材を開発している。
同社は今回の調達により、愛知県田原市に新設する工場の設備に充てるという。この新設する工場では、温暖化ガスを実質的に排出しないカーボンニュートラルを実現していくそう。