2024年3月に発表された資金調達を金額ベースでランキング形式にまとめた。
運用を終えた人工衛星などから生まれる宇宙ごみ(スペースデブリ)の除去などを指す「軌道上サービス」実現を目指すアストロスケールホールディングスが総額70億円のデットファイナンス(用語解説)でトップだった。自動運転システム用オープンソースソフトウェア「Autoware」を運営する名古屋大学発スタートアップであるティアフォーは、65億円を調達し2位に続いた。
ランキングは以下の通り。
(登記簿から確認された調達、もしくは発表日をベースに集計している)
1位は持続可能な宇宙環境を目指した軌道上サービス実現を目指すアストロスケールホールディングスで、総額70億円のデットファイナンス(用語解説)を実施した。
アストロスケールホールディングスは、実証衛星・「ADRAS-J(アドラスジェイ)」の打ち上げに成功し、デブリへの接近を試みている。
「ADRAS-J」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が民間企業と協力して技術実証に取り組むプロジェクト・「CRD2」の一環として開発が続けられていた。打ち上げ後は大型のデブリに接近し、長期間放置されたデブリの損傷具合や劣化状況などを確認する。アストロスケールホールディングスによると、世界初の試みだという。
2位はオープンソースの自動運転ソフトウェアを先導するティアフォーで、65億円を調達した。いすゞと、路線バス領域における自動運転システムの開発を目的とした資本業務提携を締結し、60億円を調達した。
この提携を基に強固なパートナーシップを構築し、自動運転レベル4による、移動サービスの社会実現を目指して路線バス向けの自動運転システムの開発・確率を加速させるという。また、ティアフォーは同月に三菱商事からも出資を受けている。この調達により、自動運転システムの社会実装を加速させるという。
ティアフォーは、「自動運転の民主化」をビジョンとし、ディープテック企業として自動運転システムの社会実装を目指している。
3位は電力市場の長期安定を目指すエナジーグリッドで、36億円を調達した。
調達方法は、三菱UFJ銀行をアレンジャーとしたシンジゲートローンだった。今回の調達によって業容拡大を目指して、資金効率によって実行できなかった取引へのチャレンジや、増加する国内外からの取引ニーズに対して仕入れ・営業の両面からの対応を強化していくという。
4位は低炭素プリント基盤の開発・製造をするエレファンテックで、30億円を野村證券が開始した、特定投資家向け銘柄制度を活用して調達した。
環境にやさしい金属インクジェット印刷による電子回路基盤の量産化を実現しているエレファンテック。この調達を通して独自製法を業界標準にすべく、技術開発・提供を進めるという。