新しく若年層に向けたアプリケーションをリリースするとしたら、どのようなサービスがウケるのだろうか。TikTokやInstagramなど若年層から火がつき他の世代に広がったアプリも多い。近年では中高生がスマートフォンを持つことが普通になりつつある。大学生に至っては、4,640名の2019年卒業の大学生を対象としたマイナビの調査によると、スマートフォン普及率は98.8%だという。そこで編集部は、大学生のアプリケーション利用状況をリサーチすることで、若年層にウケるサービスのヒントを発信できると考え、本記事にまとめることにした。若年層向け新機能や新サービスを考案しようとしている方は、ぜひとも参考にしてほしい。
STARTUP DB 編集部では53名(*1)を対象に「友達にオススメしたいアプリケーション」の1位〜3位まで聞いてみた。今回LINE、Twitter、Facebook、Instagramなどの主要SNSは、大学生特有の傾向ではないため省いている。以下のランキングでは、オススメアプリケーションの1位を3ポイント、2位を2ポイント、3位を1ポイントというロジックを採用している。
*1:男女別(男:33名 , 女:20名) 学年別(大学1年:7名 , 大学2年:15名 , 大学3年:18名 , 大学4年:13名)
まずはアプリケーションのカテゴリー別でどの領域でのサービスが現在人気なのかまとめる。今回のアンケートでは30のカテゴリーに分けることができたが、Top10に絞ってランキングを発表しよう。
※集計データよりSTARTUPDB編集部が作成
上の図は全体のランキングだが、学年別による傾向が出てきた。
大学1年 シャドウバースやCandy Cruchなどのゲーム、ジャンプ+といった漫画アプリが多く選出。
大学2年 YoutubeやAmazon prime Video、Hulu、Netflixといった動画共有やビデオ・オン・デマンドが1番多く選出。さらにMusic BoxやShazamなどの音楽アプリも多かった。
大学3年 大学2年と同じく、動画の選出が多かった。別には、B612、ULIKE、moruなど盛れるカメラが多く選出されていた。
大学4年 こちらは動画からの選出は少なく、Newspicks、SmartNews、日経電子版などのニュースやキュレーションメディアのアプリが1番多く選出された。
Top 3のアプリケーションは、以下のアプリケーションだ。
今や多くの人々に知られる動画配信サービス「YouTube」。人気の理由は、テレビとは違いスマートフォンで手軽に見ることができること、コンテンツの豊富さが挙げられる。また、YouTuberの登場もサービスの浸透率には大きな影響をもたらしているだろう。他にはバーチャルYouTuberも近年話題になってきた。現在では視聴だけでなく、YouTuberを目指す大学生が増加傾向にあり、堂々の第一位に輝いた。
・Newspicksさまざまなビジネスコンテンツや、業界の専門家や著名人の他では見られない解説コメントを閲覧できることから、25歳から44歳の層で全ユーザーの70%を占める。そんな中、大学生がオススメしたいアプリケーション2位に輝いた。しかし、Newspicksをオススメした学生はみな3、4年生だった。就活時の情報源として利用していた可能性が考えられるだろう。・NetflixYouTubeに続き、動画カテゴリーから選出だ。スマホやPCで手軽に動画の視聴ができるサービス。テレビで放映された作品以外に、Netflix限定のオリジナルコンテンツがある。過去のテレビドラマ、バラエティ番組、映画が一元化されているだけでなく、独自のロイヤリティを用意したことが、サブスクリプションサービスの中でも最大の人気を獲得する理由だろう。
・Filmarks「いい映画と出会おう。」 をコンセプトにした国内最大級の映画レビューサービス。自分の見た映画を記録できたり、他の人のレビューを見たりすることができるメディアだ。Netflixなどのストリーミング再生で気軽に映画鑑賞できるようになったことが成長の背景にはあると考えられる。また、アンケートの結果から、ひとりで映画を鑑賞する大学生の増加が見られたことも関与しているだろう。いずれにしても、学生と映画の接点が増えたことをきっかけに注目を浴びているアプリケーションのひとつだ。・WEARZOZOテクノロジーズが運営しているファッションSNS。おしゃれなコーディネートを探すのみならず、自らコーディネートを投稿することも可能。高校生までの制服から解き放たれ、オシャレに目覚める大学生は多い。雑誌を購入せずとも、モデル、俳優、一般人などのファッションを参考にできる環境が整ったため、人気が高いアプリへと成長したのだろう。
カテゴリー別ランキングでは、メディア系と動画系が頭ひとつ分飛び出る結果となった。人気の分野としてはメディアが1位であることから、大学生は情報共有に関するアプリケーションをよく利用する傾向にあると言える。Newspicks、Filmarks、wearなどは、対象物は違うもののどれも「共有」に重きを置いているアプリケーションだ。さらに、お出かけやライフスタイルなどのトピックを配信する女性向けメディアも、アンケートの結果からは多く見られた。若年層の情報収拾の場が、インターネット上に移行していることが顕著にわかる結果だった。動画分野に関しては、Hulu、DAZN、Netflixのストリーミング再生が可能なアプリケーションが多くを挙げられた。ストリーミング再生が可能なサービスは、時間や場所を選ばずスマートフォンやPCで手軽に視聴できることが大学生に人気の理由だろう。最後に、キーワードとして「就職活動」の切り口も見えてきた。Newspicksの他に、ランキング上位には入らなかったが、日経電子版も大学3、4年の学生のオススメに多く見られた。さらには、OB、OG訪問支援アプリ「Matcher」も選出されていた。かつては自宅で新聞を取ったり、大学の就活支援センターなどでOBやOGの連絡先を得たりして、就職活動に関わる情報を集めていた。しかし、就職活動にフォーカスを当てたアプリケーションの活用やサービスが発展してきていることから、今後も注目すべき市場であると考えられる。
大学の4年間は、環境や考え方がどんどんと変化する稀有な時期だ。実際に、学生へのヒアリングを進めていく中では、学年が上がるにつれて、就職活動に意識を向けたアプリをダウンロードする傾向が見えていた。今回のランキングがすべてではないものの、若年層をターゲットとしたtoCサービスを検討するならひとつの参考資料とはなり得るかもしれない。社会人とのギャップを感じる結果もあるだろう。ぜひ参考にしながら、革新的なサービスを世に送り出していただけたら幸いだ。