2021年4月の想定時価総額ランキングでは、上ブロックチェーン技術の1つであるマイニング専用のチップ「KAMIKAZE」を提供するTRIPLE-1が時価総額を1,058億円から1,641億円に伸ばし、2位に浮上した。直近登記された2020年12月の資金調達が確認できたほか、最新の株式取得価格も以前より上昇しており、想定時価総額の増加に繋がった。新たに17位にランクインしたエクサウィザーズは、“AIを用いた社会課題解決を通じて幸せな社会を実現する”をミッションに掲げている。ディープラーニングに関する研究をベースに、他企業とのオープンイノベーション、政府や自治体との実証実験による新しい社会制度の創出などに取り組む。2021年2月には、スタジアムと共同開発した録画面接サポートAIサービス「im AIエクスプレス選考 Powered by ExaWizards」を提供開始。同年3月には、TECH PLAYとTablyと共同開発した「DIA(デジタルイノベーターアセスメント)for PM」の提供を開始したほか、アフラック生命と業務提携を締結し、保険事業および全社DXの推進や新規事業開発で協働していくことを発表。さらに、4月にはデロイトトーマツとスマートシティ分野における実証プロジェクトでの協業を開始、スマートシティ構想立案からAI開発・実装までの支援サービスを提供していく方針を示した。さまざまな領域においてAIプロダクトの開発と実用化に取り組むことで、個社ごとの課題を汎用化し業界課題や社会課題に落とし込み、それらの解決に寄与している。AIエンジニアをはじめ、ソフトウェアやハードウェアのエンジニア、戦略コンサルタント、UI/UXデザイナー、介護などのドメイン専門家、研究者、政策の専門家など、多種多様な分野横断的な人材が在籍していることが同社の力の源である。また、ネットプロテクションズホールディングスは登記簿にて新たに過去の調達を確認、想定時価総額が先月より38億円増加している。その他、先月の想定時価総額ランキングと比べてリキッドグループ、アストロスケールホールディングス、Paidy、Global Mobility Serviceの想定時価総額が上昇した。ランクイン企業のうち、合計7社が先月から時価総額を伸ばしていることが伺える。
TOP20企業の累計資金調達金額において、先月と比べ、増加がみられたのはTRIPLE-1、Paidy、ネットプロテクションズホールディングスの3社だ。先月から累計資金調達金額が332億円上昇したPaidyは、2021年3月、総額約132億円(1億2,000万ドル)の資金調達を完了したことを発表。また、2020年末よりゴールドマン・サックスとのウェアハウス・ファシリティ(注1)の増枠、三井住友銀行との借入枠の新規設立、みずほ銀行をアレンジャーとする複数の金融機関のシンジケートによるウェアハウス・ファシリティ設立も行っていたことを明かした。今回の発表によると、同社の創業からの累計資金調達総額は約644億円(5億8,500万米ドル)に及ぶという。また、このうち、金融機関による融資を除くと資本調達総額371億円(3億3,700万ドル)となっている。
注1:短期で回転する資産を担保にした貸付のこと注2:STARTUP DBでの登録データは、各回の資金調達の当時のドル円レートにてそれぞれ算出した資金調達金額を累計した数値である。このため、Paidyが公式発表している累計資金調達金額との間に差分が生じている。
STARTUP DBでは次月以降も引き続き、想定時価総額ランキングと主要トピックに関する記事をリリースしていく。