2024年11月に発表された資金調達を金額ベースでランキング形式にまとめた。
成長・上場を支える法人カード「UPSIDER」を運営するUPSIDERは、シリーズDラウンドで154億円を調達しトップに立った。
法人取引の審査業務に取り組むシンプルフォームがシリーズBラウンドで40億円を調達し2位に続いた。
ランキングは以下の通り。(登記簿から確認された調達、もしくは発表日をベースに集計している)
1位は法人向けにクレジットカード事業を行うUPSIDERで、シリーズDラウンドで合計で154億円を調達した。調達額にはエクイティによる55億円と、2024年初頭からの累積デット調達99億円が含まれる。
同社は既存の法人カード「UPSIDER」や「支払い.com」の成長を基盤とし、2023年にはAIを活用した業務効率化ツール「UPSIDER Coworker」やデットファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」を立ち上げた。これにより、サービス導入企業数や決済額が急速に拡大した。
今後、ホールディングス体制への移行を進め、事業子会社化による各プロジェクトの独立性を強化する計画を発表した。また、全国主要都市への拠点展開を目指しており、すでに大阪支社が稼働中であるという。国内外の投資家と連携しつつ、金融分野での新たな挑戦を続けていく方針だ。
2位は法人調査プロセスを自動化するクラウド型ソフトウェア「SimpleCheck(シンプルチェック)」を提供するシンプルフォームで、シリーズBラウンドで26億円の第三者割当増資と14億円の借入による総額40億円の資金調達を実施した。
同社は、法人の審査業務を効率化・高度化するための「SimpleCheck」や「SimpleMonitor」といったプロダクトを提供している。これにより、法人の属性やリスク情報をデータベース化し、非対面取引の安全性を強化すると同時に、金融機関を中心に多くの企業で採用されている。
今後は既存プロダクトの強化、新規プロダクト開発、組織体制の拡充を進め、審査業務をワンストップで支援する「SimpleForm」の構想を実現し、社会的影響力をさらに拡大していくとしている。
3位は量子コンピュータのソフトウェア開発を手掛けるQunaSysで、シリーズB2ラウンドで総額22億円の資金調達を実施した。調達額にはエクイティによる17億円と、三井住友銀行から5億円の融資が含まれる。
同社は、量子コンピュータの実用化を目指したアルゴリズムやソフトウェア開発を強みとし、誤り耐性量子コンピュータの時代を見据えた新たな応用技術の研究や開発に注力している。2022年以降、大阪大学などとの共同研究を通じて量子化学計算の新手法を開発し、CAE分野での応用可能性を広げてきた。また、欧州拠点設立や政策的イニシアティブへの参加を通じて、国内外での量子技術の社会実装に向けた事業展開も進めている。
今回調達した資金は、量子コンピュータが産業に貢献する未来を実現するための事業推進に活用される予定である。特に、基盤技術の開発や新たな応用領域の開拓に注力し、エンドユーザー企業やパートナーと共に、量子技術の産業課題解決を目指すとしている。同社は引き続き、国内外の量子産業の成長を牽引し、量子コンピュータの社会実装に貢献していく方針だ。
4位は次世代のデジタル学習塾「個別指導 コノ塾」を運営するコノセルで、20億円の資金調達を実施した。この調達により、累計資金調達額は47億5,000万円に達した。
同社が運営する「コノ塾」は、デジタル技術とリアルな指導の融合が特徴。独自開発のアプリで学習データを詳細に記録・分析し、教室長が生徒一人ひとりに合わせたコーチング型指導を提供している。また、教室展開においては、教育現場の効率化を目的としたデジタル化を積極的に進め、教職員が教育そのものに集中できる環境を整備している。
今回の資金調達を機に、同社は教室展開をさらに拡大する計画。また、オリエンタルランド・イノベーションズとの連携を強化し、リアルな場のオペレーション力を活かした教育サービスの充実を目指す。デジタルとリアルの融合による教育の新しいスタンダードを築き、さらなる成長を見込んでいる。