2021年1-2月までの国内スタートアップ資金調達金額ランキングでは、未回収リスク保証型の後払い決済サービス「NP後払い」を運営するネットプロテクションズホールディングスが約60億円の調達を行い、資金調達ランキングのトップに躍り出た。また、10億円を超える資金調達では、LegalForce、ALE、H.I.F.、Terra Drone、エスキュービズムが名を連ね、新たに12社がランクインとなった。
2000年1月に設立されたネットプロテクションズは、テクノロジーを活用して新しい信用を創造する「Credit Tech(クレジットテック)」のパイオニア企業として、あらゆる商取引を円滑にしていくことを目指している。2021年2月25日には、母体であるネットプロテクションズホールディングスとジェーシービーによる大型資本提携を発表。本資金調達・提携により、ジェーシービーの同社に対する出資比率は10.24%となった。併せて国内外において拡大するBNPL(Buy Now, Pay Later=先に買って後から支払う決済)市場における事業連携を開始する見込みだ。
新規で3位にランクインしたLegalForceは、AI契約書レビュー支援ソフトウェア「LegalForce」や、クラウド契約書管理システム「Marshall」 を提供。シリーズCラウンドでDIMENSION、SMBCベンチャーキャピタル、WiL、みずほキャピタル、ジャフコグループ、三菱UFJキャピタル、三菱UFJ銀行、日本政策金融公庫から約30億円の資金調達を実施した。
人工流れ星事業「Sky Canvas」などの宇宙関連エンターテインメント事業や衛星事業を行うALEが、4位に新規ランクイン。スパークス・イノベーション・フォー・フューチャー、Horizons Ventures、東北大学ベンチャーパートナーズなどから、2022年4月を目処に22億円の調達を完了する予定だ。
5位には、決済代行・信用保証サービス「Fimple決済」を展開するH.I.F.の名が上がった。エレメンツキャピタルリサーチなどを引受先とする第三者割当増資により、15億9,000万円のシリーズBラウンド資金調達を実施し、「Fimple決済」のAI与信審査開発に活用する方針だ。
6位にランクインしたTerra Droneは、国内外に向けてドローン事業を展開しており、ベンチャーラボインベストメント、南都キャピタルパートナーズ、国際石油開発帝石を引受先として15億1,000万円の資金調達を行った。
そのほか、Psychic VR Lab、EAGLYS、Ridge-i、アークメディスン、ビードットメディカル、MFSが新規ランクインしている。
また、今月の資金調達金額ランキングのランクイン企業の設立日と、設立からの累計調達金額は以下の通りである。
トップ20にランクインしている企業の中で、これまでの累計資金調達金額がもっとも多いのはH.I.F.だ。H.I.F.は、2019年7月より旅行事業を展開するエイチ・アイ・エスの連結子会社として事業運営をしてきたが、2020年2月にIPOを目指すことを目的にMBO(マネジメントバイアウト)を実施している。
同社は2021年2月にエレメンツキャピタルリサーチなどから15億9,000万円の調達を実施したほか、2020年1月にはあおぞら銀行から50億円の融資コミットメントライン契約、2019年6月にGMOあおぞらネット銀行、イー・ギャランティ、エイチ・アイ・エスから5億円の調達を経ている。
また、設立5年以内のスタートアップは11社となっており、このうち9社が10億円以上を調達している。
2020年1月に設立されたばかりのThinkingsは、採用管理システム「SONAR ATS」など、HRTech領域の事業を複数展開しているスタートアップだ。2021年1月にXTech Ventures、i-nest capital、みずほキャピタル、インキュベイトファンドよりシリーズAラウンドで9億5,000万円の調達を行っている。
STARTUP DBでは次月以降も引き続き、資金調達ランキングと主要トピックに関する記事をリリースしていく。