ブロックチェーン技術などのテクノロジーを活用した業務プロセスのデジタル化を推進するLayerXは、ジャフコ、ANRI、YJキャピタルを引受先とした総額約30億円の資金調達を実施し、10位にランクイン。これにより同社の想定時価総額は128億円となった。今回調達した資金は、商用化のための事業会社設立資金や、これらに対応した事業及びプロダクト開発、人材採用に割り当てる方針である。代表は2012年大学院在学中にGunosyを創業、代表取締役に就任し、創業よりおよそ2年半で東証マザーズに上場させた経験を持つ福島良典氏が務める。
米ファンドのEvolution Capital Managementなどから27.9億円(総額約2,500万ドル、1ドル111.85換算)の出資を受けたフィンテックベンチャーであるGVEは12位にランクイン。これにより、同社の想定時価総額は2020年6月時点で558億円となり、国内スタートアップの時価総額ランキングでも10位にランクインしている。
13位には、AI問診サービス・診察サポート機能を持つ高機能問診票アプリ「Ubie」を開発するUbieが名を連ねた。医薬品卸を主要事業とするスズケンを引受先とする20億円の資金調達を実施。調達した資金は人材の採用、カスタマーサクセスとマーケティングの強化に充てる見込みだ。さらに、国内での提供・改善を重ねた先にはグローバル展開も見据えている。
日本最大級のプログラミングスクール「TECH CAMP」を運営するdivは、18.3億円の資金調達を実施し、新規20位にランクイン。同社の展開する「TECH CAMP」は、挫折せずに学び切るためのサポートが充実しており、2012年3月の会社設立以来およそ20,000名以上の受講実績を有する。今回の代表取締役である真子就有氏はビジネス系のYouTuberとしても活動しており、登録者数は約70万人を誇る(2020年6月時点)。
ランキングを見てみると、金融カテゴリーで大型の資金調達を実施している企業が目立つ。Paidy、H.I.F.、Kyash、GVE、ディーカレット、五常・アンド・カンパニーの6社である。自明なことながら、フィンテック・金融は多くの投資家が注目している産業領域といえる。
また、「その他」に分類されるLayerXは、2019年11月に三菱UFJフィナンシャル・グループとの協業締結のほか、2020年4月には三井物産と三井物産デジタル・アセットマネジメントを設立するなど、様々な領域でブロックチェーン技術を活用し、実証実験のみならず具体的な商用化の取り組みを推進している。大企業を巻き込んでのイノベーションに注目したい。
STARTUP DBでは次月以降も引き続き、資金調達金額ランキングと主要トピックに関する記事をリリースしていく。