2018年の株式市場では合計で90社が上場した。新興企業向けの市場であるマザーズにも、63社が上場を果たしている。その一覧を覗いてみると、国内で最も注目されたメルカリ、ドローン領域で初上場となった自律制御システム研究所などのスタートアップの注目銘柄も挙げられる。今回はスタートアップ企業を含めたマザーズ上場企業について、上場時の従業員数、設立年数、資金調達額などの側面から情報をまとめた。
上場した企業の数を業界別に見ると、情報・通信業とサービス業がともに22社でトップだった。ふたつの業界を合わせると2018年上場企業全体の約7割にあたることから、圧倒的な人気がうかがえる。そのほかにも不動産業が5社、小売業が4社と続いていた。
上場時の従業員数は各企業で大きな差がある。最少だったのは抗がん剤の創薬を事業とするDelta-Fly Pharmaであり、その人数は11人。そのほかにも、それぞれ情報・通信業のAmaziaは13人、Kudanは14人と、少人数で上場を果たす企業の存在が目立っていた。一方で、従業員数が1,000人を超える企業の上場も見られた。メルカリは子会社を含めると1,042人を記録している。また、テノ. ホールディングスはグループ全体で2,814名と最多だった。ちなみに、今回算出した従業員数ではすべて臨時雇用者数を含んでおり、全63社での平均は318名であった。
設立から上場までの年数も企業によって大きく異なる。アプリ開発のand factoryは4年、ドローンの自律制御システム研究所は5年と、スピード上場を果たしたスタートアップの存在が目立っていた。一方で、ソフト開発のイーソルは設立から43年5か月と、and factoryとは10倍以上の開きがあった。また、全63社での平均は12年11ヶ月であった。
上場時の調達金額(公開価格 × 公開株式数)を比較してみると、メルカリの上場規模の大きさが際立つ結果だった。後ろには、美容機器の企画・製造を行うMTGやネット印刷プラットフォームのラクスルなどが続く。全体での平均は4,917百万円だった。
初値での時価総額でもやはりメルカリが6,700億円でトップという結果だった。公開価格3,000円に対して初値で5,000円を記録し、大幅に時価総額を伸ばすことに成功した。そのほかにも、調達金額が大きかったMTGや社員数14名で上場を果たしたKudanなどが後には続いていた。
2019年2月6日時点で上場企業は予定を含め9社あり、昨年同時期の5社を上回っている。スタートアップへの注目度が高まり、エクイティ・ファイナンスなどにより資金が多く流れている近年、スタートアップには追い風が吹いている状況だ。その中で、調達した資金をもとに成長を遂げ、上場までたどり着くスタートアップは増加していく可能性がある。また、マザーズに上場する企業の中には従業員数11人や設立から4年での上場など、ほかにはない規模感やスピード感を持った企業があることもわかった。今後も特徴のある興味深い上場を果たす企業が数多く現れていくだろう。