STARTUP DBでは、毎月国内スタートアップ企業の想定時価総額ランキングの記事を配信している。これまでは、国内スタートアップ企業の事業内容や領域・想定時価総額などにフォーカスしてきたが、本記事では国内スタートアップ企業の想定時価総額ランキングTOP20に出資をする投資家に着目した。日本を代表するスタートアップに資金を提供している投資家に迫っていきたい。
2020年7月時点の国内スタートアップ企業の時価総額ランキングTOP20社に出資している投資家を、企業件数順にみる一覧が以下となる。
全体としては、銀行・証券関連の金融系VCが多く見られることが分かる。投資件数が6件でトップのSBIインベストメントやSMBCベンチャーキャピタル、三井住友トラスト・インベストメント、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルなどがそれにあたる。
また、大手事業会社も多く出資していることが分かる。ソニー、三井物産、三菱地所、凸版印刷、ANAホールディングスなど事業会社の業種は多様だ。自動車事業の展開を図るソニーが、自動運転システムの開発を行うティアフォーに出資しているなど、事業会社は投資先とのシナジー効果を期待しての投資をすることが多い傾向にある。
過去にフリマアプリのメルカリやSHIFTへの出資を経て上場へ導いた実績のある、総合商社の三井物産は、国内スタートアップ日本一の想定時価総額を誇るPreferred Networksを筆頭に、ジェネシスヘルスケア、プレイドへの出資を行っている。業種の幅に囚われず、成長の見込める多種多様なテック企業に投資をしているようだ。ほか不動産大手の三菱地所は、クリーンプラネット、アストロスケールホールディングス、FiNC Technologiesへの投資をしている。
独立系VCとしては、ジャフコ、スパークス・グループが入っている。日本最大のベンチャーキャピタルであるジャフコは1973年の設立以来、累計4,000社以上の投資社数を誇り、累計投資先上場数では1,000社を超えている。現在では27ファンドの運用を行っており、コミットメント額は4,339億円。想定時価総額上位企業では、アストロスケールホールディングス、エリーパワー、ティアフォーの3社に出資している。また、その他の投資ポートフォリオに関しては企業ページを参考にしていただきたい。
個人投資家として、唯一ランクインしている千葉功太郎氏(以下、千葉氏)。2019年10月には、千葉氏率いる起業家コミュニティ”千葉道場”による初の投資ファンド、”千葉道場ファンド”の設立を発表した。現在は、国内外インターネット業界のエンジェル投資家であり、リアルテックファンドクリエイティブマネージャーも務めている。また2017年6月にローンチした、ドローン・エアモビリティ特化型ベンチャーキャピタルDrone Fund代表パートナーとして投資活動を展開する。千葉氏が投資している時価総額上位企業は、FiNC Technologies、ウェルスナビ、パネイル、スマートニュースである。他スタートアップにも数多く投資している千葉氏の投資先に関しては、千葉氏のリンク先URLや千葉道場、Drone Fundの企業ページを参照いただきたい。
今回特筆した投資家について、以下にまとめた。
投資件数TOPの6件を誇る
出資先:FiNC Technologies / Global Mobility Service / Paidy / ZMP / アストロスケールホールディングス / ウェルスナビ
投資件数は5社とSBIインベストメントに次ぐ
出資先:アストロスケールホールディングス / ウェルスナビ / スマートニュース / パネイル / プレイド
過去にメルカリやSHIFTを上場へ導いた実績を持つ
出資先:Preferred Networks / ジェネシスヘルスケア / プレイド
独立系VCの最大手、累計投資先上場数は1,000社超え
出資先:アストロスケールホールディングス / エリーパワー / ティアフォー
独立系VCとしてジャフコと並び3件の投資実績
出資先:FiNC Technologies / Mobility Technologies / ウェルスナビ
本記事では、想定時価総額上位スタートアップに出資を行う投資家を見てきた。想定時価総額ランキングの変動によっては、投資家の並びも大きく変わってくるであろう。今後も成長企業に出資を行う投資家に注目していきたい。