コラム

想定時価総額上位スタートアップに出資している投資家とは?【2020年7月】

2020-07-15
STARTUPS JOURNAL編集部
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STARTUPS JOURNAL編集部

STARTUP DBでは、毎月国内スタートアップ企業の想定時価総額ランキングの記事を配信している。これまでは、国内スタートアップ企業の事業内容や領域・想定時価総額などにフォーカスしてきたが、本記事では国内スタートアップ企業の想定時価総額ランキングTOP20に出資をする投資家に着目した。日本を代表するスタートアップに資金を提供している投資家に迫っていきたい。

2020年7月時点の国内スタートアップ企業の時価総額ランキングTOP20社に出資している投資家を、企業件数順にみる一覧が以下となる。

全体としては、銀行・証券関連の金融系VCが多く見られることが分かる。投資件数が6件でトップのSBIインベストメントSMBCベンチャーキャピタル三井住友トラスト・インベストメントみずほキャピタル三菱UFJキャピタルなどがそれにあたる。

また、大手事業会社も多く出資していることが分かる。ソニー三井物産三菱地所凸版印刷ANAホールディングスなど事業会社の業種は多様だ。自動車事業の展開を図るソニーが、自動運転システムの開発を行うティアフォーに出資しているなど、事業会社は投資先とのシナジー効果を期待しての投資をすることが多い傾向にある。

過去にフリマアプリのメルカリSHIFTへの出資を経て上場へ導いた実績のある、総合商社の三井物産は、国内スタートアップ日本一の想定時価総額を誇るPreferred Networksを筆頭に、ジェネシスヘルスケアプレイドへの出資を行っている。業種の幅に囚われず、成長の見込める多種多様なテック企業に投資をしているようだ。ほか不動産大手の三菱地所は、クリーンプラネットアストロスケールホールディングスFiNC Technologiesへの投資をしている。

独立系VCとしては、ジャフコスパークス・グループが入っている。日本最大のベンチャーキャピタルであるジャフコは1973年の設立以来、累計4,000社以上の投資社数を誇り、累計投資先上場数では1,000社を超えている。現在では27ファンドの運用を行っており、コミットメント額は4,339億円。想定時価総額上位企業では、アストロスケールホールディングスエリーパワーティアフォーの3社に出資している。また、その他の投資ポートフォリオに関しては企業ページを参考にしていただきたい。

個人投資家として、唯一ランクインしている千葉功太郎氏(以下、千葉氏)。2019年10月には、千葉氏率いる起業家コミュニティ”千葉道場”による初の投資ファンド、”千葉道場ファンド”の設立を発表した。現在は、国内外インターネット業界のエンジェル投資家であり、リアルテックファンドクリエイティブマネージャーも務めている。また2017年6月にローンチした、ドローン・エアモビリティ特化型ベンチャーキャピタルDrone Fund代表パートナーとして投資活動を展開する。千葉氏が投資している時価総額上位企業は、FiNC Technologiesウェルスナビパネイルスマートニュースである。他スタートアップにも数多く投資している千葉氏の投資先に関しては、千葉氏のリンク先URLや千葉道場Drone Fundの企業ページを参照いただきたい。

今回特筆した投資家について、以下にまとめた。

ピックアップ企業

SBIインベストメント

投資件数TOPの6件を誇る
出資先:FiNC Technologies / Global Mobility Service / Paidy / ZMP / アストロスケールホールディングス / ウェルスナビ

 

SMBCベンチャーキャピタル

投資件数は5社とSBIインベストメントに次ぐ
出資先:アストロスケールホールディングス / ウェルスナビ / スマートニュース / パネイル / プレイド

 

三井物産

過去にメルカリSHIFTを上場へ導いた実績を持つ
出資先:Preferred Networks / ジェネシスヘルスケア / プレイド

 

ジャフコ

独立系VCの最大手、累計投資先上場数は1,000社超え
出資先:アストロスケールホールディングス / エリーパワー / ティアフォー

 

スパークス・グループ

独立系VCとしてジャフコと並び3件の投資実績
出資先:FiNC Technologies / Mobility Technologies / ウェルスナビ

 

本記事では、想定時価総額上位スタートアップに出資を行う投資家を見てきた。想定時価総額ランキングの変動によっては、投資家の並びも大きく変わってくるであろう。今後も成長企業に出資を行う投資家に注目していきたい。

 

【2025年上半期】国内スタートアップ投資動向レポート

日本のスタートアップは、世界の経済動向や技術の進化に対応しながら、状況を変化させている。2025年上半期の資金調達金額は速報値で3,810億円で着地し、未だ調達環境が良くなってきているとは言えず横ばいの状態だった。米国では、前期に続きAI関連企業への集中が顕著で、PitchBookのデータによると、2025年Q1時点でAIへの資金調達額は全体の約7割に達している。こうした環境の中で、日本の国際競争力を高めるために注力すべき成長産業は何か。本レポートでは、日本の成長産業の変化を捉え、今後の成長の可能性を分析する。これからの日本の経済成長の鍵を見出すために、本レポートが一助となれば幸いである。