独自分析

事業会社・CVCの投資社数は安定的に増加傾向。金融機関や大学発VC、高まる存在感【属性別・投資社数まとめ】

2024-02-09
高橋史弥 / STARTUP DBアナリスト・編集者
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高橋史弥 / STARTUP DBアナリスト・編集者

スタートアップに投資するプレイヤーが多様化してきている。

独立系VC(ベンチャーキャピタル)はもちろんのこと、大学に由来するVCも増加しているほか、事業会社・CVC(用語解説)の存在感も増す一方だ。

スタートアップへの投資実績について、STARTUP DBが属性別にまとめたところ、投資家ごとに異なる傾向が確認された。

STARTUP DBでは、独立系VCや事業会社・CVCなど、属性ごとの投資社数推移をまとめた。数字には融資社数も含まれている。

市況に大きく左右されず緩やかな上昇トレンドを描いているのが「事業会社・CVC」だ。2019年は1,433社だったのが23年には1,789社と1.24倍に成長している。

技術力や事業モデルなどに尖った強みを持つスタートアップの成長力を取り込むために出資・協業したいという事業会社の意欲は高いとみられ、今後も伸びが期待される。

「独立系VC」は2023年に入ってやや投資社数が減少した。スタートアップの間ではデットファイナンス(用語解説)など調達手法の多様化が進んでいて、23年のエクイティファイナンス(用語解説)による調達は前年を下回る勢いとなっている。

対照的に右肩上がりなのは「金融系VC・金融機関」だ。2019年は763社だったが23年は1,146社と、独立系VCを抜く格好となった。

金融系VCの投資社数も上昇傾向にあるが、金融機関による融資の増加が数字を押し上げている。背景には、メガバンク3行やりそな銀行などがスタートアップ向け融資に対し積極的な姿勢を打ち出したほか、ベンチャーデット(解説記事)といった比較的新しいスキームの利活用が広がってきたことが挙げられるだろう。

投資社数ベースでは割合として多くないものの、大学発VCによる出資が増加している点にも注目したい。2019年は62社だったのが、23年には93社と1.5倍に成長。大学発VCは研究シーズ(種)の事業化を目指すスタートアップに投資を実行することも多く、起業する研究者らにとって貴重な資金源になりつつあると言えそうだ。

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